タソガレドキ忍者大恋愛相談会「私って不気味じゃない。大前提としてさあ」
「はあ」
「爛れた肌の包帯大男。青い血が流れている化け物で、女子供も平気で殺す。捕虜の皮を剥がして見せしめに豚の餌にし、身につけていた金品を売り捌いて腹を肥やしている。長く苦しんで死ぬような毒を好んで使い、のたうち回る姿を見て清酒を啜る。毒虫を喰らいその毒を血液へと循環させる毒人間である。腹の中は空洞で地獄に続く穴が続いている。人間を二足で歩く虫だと思っていて……」
「待ってください。なんの話です?」
それまで黙って話を聞いていた高坂が訝しんだ声を上げる。それに対して雑渡は「私の話」と平坦な声で返す。
月のない夜のことである。大木の木の枝に雑渡は腰掛けていて、そのすぐ左に高坂は控えていた。二人の足下からは激しい金属音が響いていて、時折勇み声が上がる。領内に襲撃してきた敵対組織の忍者に、タソガレの忍軍が応戦しているのだ。雑渡が出るまでもないお粗末な来襲である。
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