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    KaimenSponge

    @KaimenSponge
    落書きまとめ用 イマジナリー強火の落書きしかないです

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    KaimenSponge

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    さんむそ現パロ徐庶と馬岱の食べ歩きシリーズ
    今回は短めです パフェ活回

    登場人物とものすごくおおまかな設定
    徐元直(アラサー、食いしん坊会社員?)
    馬岱(食いしん坊美大生)
    ひょんなことから出会った食いしん坊2人がいろんなものをいろんな場所で食べる!
    Twitterでフォロワ〜さん複数人と遊んでいるネタです。そのうちお付き合いするけれど、そちらは番外編で進みます。

    平和島で季節のこだわりパフェ食べよ 品川から赤い電車に乗って、十駅もいかないくらいの駅で降りた。ここで降りるの、2人とも初めて。いっこしかない改札を通ったら、左側。西口からつながる商店街を行く。ちょびっとまっすぐ進んで、右に曲がって、鶏肉屋さんの角でまた右に曲がって。大体、駅出て2分くらいらしい。
    今日行くのはパフェの専門店。なんと、春から夏のフルーツがおいしい時期しか営業しないんだって! 去年お店の存在を知った時には営業が終わる間際で、行けなかったんだよねえ。仕方ないからお店のアカウントに投稿されてる写真見たらほんっとおいしそうで、今年の営業始まったら絶対行こうって思ってたの。SNSでフォローしてる人の行きつけらしくて気になってて。
    電車に乗りながら元直さんとお店のSNSを見て、メニューとか場所とか再確認。どうやら、メニューは2種類だけみたい。ちょうど2人だから違うの頼んでシェアすることにした。どうせならどっちも食べたいもんね!
    1回目の右折までは順調だったんだけど、次、鶏肉屋さんの角を曲がったら、それらしい看板が全然見えなくて2人して立ち止まっちゃった。すぐ向こうに、さっき乗ってきた線路見えちゃってるんだけど……でも地図アプリの表示はこの先になってるから、もうちょっと進んでみよっかって頷き合った。線路まで3、4軒しかなさそうなんだけどなあ、合ってるのかなあ……って思いながら覗き込んだ玄関先、お目当ての看板出てた! よかったあ、合ってた。ポーチに置いてあるブラシノキとか、庭木がきれいだな。うちのベランダでもなんか育てたいな。
    お店の玄関は全開になってる。これ、入っちゃっていいのかな……覗き込むと普通のおうちの玄関ぽい感じで、他のお客さんのかな、靴が脱いである。なるほど、靴脱いで上がるんだ。傍に置いてあるスリッパ履いて……よかった、混雑してないみたい。11時の開店ぴったりには合わせなかったけど、お昼時選んでよかったかも。平日だしね。
    玄関から進むと、カウンターとその奥にキッチンが見えた。意外と小ぢんまりしてる。お店の人に声かけたら、最初に注文する方式なんだって。うーんメニューどっちにしよう。迷った末におれは柑橘のパフェにした。元直さんはマンゴー。セットドリンクもあるんだね。ちょっと悩んで、おれはチャイ、元直さんはアイスコーヒーを選択。ここで先にお会計もしちゃう。へえ、席は蔵を改装したお部屋か、母屋か選べるんだって。この建物は元々質屋さんだったんだそうだ。なるほど、だから立派な蔵があるんだね。見て決めていいって言われたから、それぞれそうっと覗かせてもらって、母屋の方にした。おれたちが選んだのは押し入れを解体して作った落ち着く感じの席。壁は板張りと砂壁のコンビになってるみたい。ふすまを取り払って大きな空間が作られていて、真ん中の丸い大きなテーブルにドウダンツツジやダリアが生けてあった。おしゃれだなあ……。各席にもお花が生けてあって、おれたちの席にはベニバナ。花瓶は透明なガラスだ。天井近くに付けてあるライトで手元が照らされて、なんか特別感ある。部屋の真ん中から下がってるライトもレトロっていうか、ヴィンテージって言うか。かっこいいな。ちょっぴり薄暗い感じが落ち着いてて素敵だ。おれの部屋もこんな感じにしてみようかな。

    きょろきょろしてるうちにまず飲み物がきた。おれのセットのチャイ、ちょっぴりレトロな感じの花柄のカップとソーサーがかわいい。顔を近付けるとふわっとしょうがが香った。わあ、ミルク感がすごくリッチ。でもスパイスもしっかり効いてて、しょうがのピリッと感とカルダモンの爽やかさが合ってる。ごくごく飲むっていうよりは、ゆっくり味わって飲みたい感じの味だ。甘すぎないし、これ好きだなあ。
    開いた窓から涼しい風が入ってくる。今日は5月のくせに暑いからありがたい。向こうの席のお客さん、もうパフェグラスが片付けられてるから、開店から来てゆっくりおしゃべりしてるのかな。楽しそう。
    あっ、おれ達のパフェきた!おなじみの上が広がった形のパフェグラスに、きれいなオレンジ色がぎっしり。濃いのと、透き通った山吹色のと、少し色が薄いのと、3種類。ふむふむ、上に乗ってるピールは清見タンゴールとたんかん……えっ、日によって変わるんだ、すごい! ほそーく切ったのが繊細に盛り付けられてる。色合いがカラフルでかわいいなあ。食べる前にちょっと観察しよっと。写真も撮ってと。ええと、今日の柑橘は、ちっちゃくて黄色い輪切りが金柑、オレンジ色のはデコポンかな。黄色っぽいのが土佐小夏っていうやつか。白いワタのところも食べられて、それがおいしいからわざとワタを残してあるみたい。うーん食べたことないぞ。まあるく盛り付けられたジェラートは2種類かな。見るからになめらかそう。底の方にはゼリーが入ってるみたいだけど、どんな味かなあ。
    元直さんのマンゴーパフェは、おっきく切ったマンゴーがドカンと乗ってて、なんと下の方にはいちごが入ってる! ぜいたくだ〜!よく見ると柑橘も乗ってる、これデコポンかな。
    いけないいけない、ジェラートが融けちゃうよ。元直さんも写真を何枚かパパって撮って、フォークを持ってる。果物たっぷりのせいか、スプーンだけじゃなくてフォークもついてくるみたい。その方が断然食べやすいもんね。まずは果物から食べた方がいいよねきっと。どれからいくか迷っちゃうな、いちばん手前の金柑からにしようかな。皮ごと少し厚めの薄切りにしてある。いただきます、っと……わ、いい香り!可食部っていう意味ではあんまり食べるところないかと思ったけど、金柑って皮ごと食べられちゃうんだもんね。皮のほろ苦さもいい感じ。おいしいなあ…次のデコポンはすっごくジューシーで、口に入れると果汁がはじける。香りがふわって鼻に抜けて、思わずうっとりしちゃった。ここでいったんお水飲んで口の中リセット。よおし、気になる土佐小夏食べるぞ……わあ、白いワタのところって、フカフカでうっすら甘いんだ! じゅわっと溢れる果汁はデコポンよりさっぱり。オレンジとかみかんとは違う系統の爽やかさだ。これおいしいなあ、土佐っていうから高知でたくさん作ってるのかなあ。お取り寄せ憧れるけど、一人暮らしでたくさん届くと困るからしたことないよ。
    ここで元直さんのと交換。マンゴーといちごひと切れずつあげるよって、さすが太っ腹ぁ! ありがたく頂戴する。元直さんは、柑橘をスプーンとフォークで自分が食べるひと口ぶんだけ切り分けていた。律儀だなあ、ガブってかじっちゃっても、男同士だし構わないのに。
    「俺、土佐小夏って初めて食べたよ。おいしいんだな……」
    元直さんがうっとり呟く。
    「おれも。おいしいよね……っていうかこのマンゴーすごくない? 濃厚でおいし〜」
    「だろう?すごいよな、はあ、うまいな……」
    しみじみしながらグラスを元に戻す。次はジェラート食べてみようかな。真っ白い方からひとくち。ミルクジェラートかな。さわやかで優しい甘さだ。柑橘の酸っぱさにぴったり合う感じ。これ、ずーっと反復運動できちゃうよ。おいしいなあ……。もう1種類のジェラートはなんだろう、少しベージュがかってて、何か混ざってる……あ、これナッツだ。カシューナッツかな、すんごく濃厚。柑橘主体でさっぱりに寄りがちだから、こういうこっくり味で引き立たせてるのかな。そのへんは詳しくなくてよくわからないけど、これもおいしい。ナッツの粒々がいいアクセントになってる。貴重な柑橘をちびちび食べながら、ジェラートの下のクリームへ到達。マスカルポーネシャンティだって。マスカルポーネはわかるけど、シャンティってなんだろ? とりあえずすくって食べてみる。うーん、ただの生クリームとも、ミルクジェラートとも違うなめらかふんわりこっくりクリーム、おいしい〜! これだけもうちょっと食べたいかも! スマホで調べたら、泡立てた生クリームのことをフランス語でシャンティって言うんだって。じゃあこれはマスカルポーネチーズと生クリームを合わせたやつなのかな。柑橘の風味を邪魔してないし、甘さと酸っぱさによく合ってて本当おいしい。その下にはカリカリのクッキー砕いた感じのやつ。わあ甘じょっぱい、というか結構しょっぱい。そんでカリッカリによく焼けてる。さっきまでの甘くて柔らかい具材と正反対で面白いね。その下から見えてるうす黄色い透明なのはゼリー。なんか、こだわりパフェっていちばん下にジャムとかソースが入ってるイメージだったけど、ゼリーのもあるんだね。ひとくち口に入れたら、わあ酸っぱい! ほとんどお砂糖使ってなさそうな酸っぱいレモンゼリーだ。ぷるぷるもっちりしてて、今までのどの具材とも違う食感。果物の甘さやジェラート、シャンティの濃厚さがさーっとリセットされて、さっぱりする。この組み合わせすごい、どうやって考えてるんだろ。ってあれ、もう底が見えてきちゃったよお……。
    「儚いな……」
    元直さんもしおしおしてる。しょんぼりしたわんちゃんみたい。頭の上にへにゃへにゃの三角耳が見える気がする。マンゴーパフェに入ってたジャスミン茶ジェラートがものすごくおいしくて、元直さん、これだけ売ってくれないかなあ……もっと食べたいな……って言いながら最後のひとくちを食べてる。おれも名残惜しい気持ちで底まできれいに食べて、ごちそうさまをした。いやあ本当すごい満足感。期待通りどころじゃない、期待以上だよ。果物にこだわってるお店ってことしか頭になかったけれど、それに合わせるジェラートとかクリームだって当然工夫してあるんだよね。はあ……本当においしかった、来てよかった……。
    ちょうどお客さんの切れ間だったのか、オーナーさんと少しお話しもしちゃった。次のパフェはメロンかあ〜、これ全制覇したくなっちゃうな。SNS、見逃さないようにしないと。2階のギャラリーも見せてもらって、お店を出る。また来てくださいね、ってまるで初めて来たお店じゃないみたいにやさあしく言われて、胸がぽかぽかになる。また絶対来まあすって手を振って、路地へ出た。
    商店街、鶏肉屋さんのからあげおいしそう。お花屋さん、お食事処、床屋さん。ゆったりした雰囲気。初めて来たけどいい街だな。パフェの感想とかを話し合いながら、駅への短い道のりをゆっくり歩く。

    改札を通ってホームへ上がった。次はどこ行こうかな、何食べようかな。そう考えていたら、馬岱くんここはどうかなって元直さんがスマホの画面を見せてきた。えっ、御徒町?
    「夕飯。ここ行ったことあるかい?」
    「ううん、ない。あっ、待ってここ行ってみたかったとこだあ!」
    元直さんが嬉しそうに笑って、その場で電話して予約してくれた。何度か行ったことあるみたい。
    「なんでもおいしいところだから、腹空かせて行こう。5時半に予約したから、それまでどこか行くかい?」
    「あっ、じゃあ上野行こ、見たい展示あるんだよね」
    「いいね、賛成」
    滑り込んできた電車に乗って、すかすかの平日昼過ぎの座席に腰掛ける。何食べよう、これおいしいよって言い合うの、楽しい。

    こうやってちょこっと遠出するの、いいな。馴染みのお店もいいけど、目当てのお店だけ行くのもいいけど、その料理やお店が、どんな場所で、どんなひと達に囲まれてできてるのか見るのも楽しいんだなって、最近は思う。本格的な遠征は費用の問題もあってそうおいそれと計画できないけど、都内ならハードル低いよね。あんまり行ったことない場所たくさんあるし、楽しいかも!
    ふふ、楽しみが増えちゃったな。ニコニコしてたら、どうしたんだい楽しそうだね、って元直さんが覗き込んできた。
    「んふふ、元直さんとのサークル活動楽しいなって、ね!」
    「はは、それは光栄だな」
    俺も全く同感だ、君と食べ歩くのは楽しいよって目尻をとろっと緩めて、元直さんはにっこり笑った。
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