こども本にしたい 桜の花もだいぶ散り、若葉が眩しくなり始めたとある日。大般若は寝苦しさを覚えて意識を浮上させた。日中は日差しが当たれば暑く感じる日もあるが、まだまだ早朝は肌寒く感じる日々も多い季節なのだが今朝はどうにも汗ばんでしまって仕方がない。
(あつい…)
そんな時期でもないのだが、まるで大きな湯たんぽを抱えている時のように腹のあたりに熱い何かがある。小竜を抱きしめて眠るのはいつもの事だが彼は割と体温が低めだし、そもそも熱さを感じるのは腹回りに限定されているのだ。これが己よりも背の高い小竜なはずがない。
「うーん…」
じんわりと汗をかくほどのそれだが、起きるにはまだ早い。折角の休日だからもう少し寝ていたいという気持ちと、布団を剥いでこの暑さの原因をひっぺがしたいという気持ちがせめぎ合う。
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