アルカヴェ転生現パロ その日、青年は自らの前世について思い出した。
衝撃的な出来事があったわけでも、前世に起因する何かに触れたわけでもない。それを思い出した時、青年は家族と一緒に夕食をとっている最中だったので、動揺のあまり箸でつまんだ煮物を取り落としてしまった。すぐに、失態だ、と己を律する。しかし祖母との二人きりの食卓であるが故に、思い出した瞬間に漏れ出た「あ」という言葉は当然のように祖母に拾われてしまった。
普段からそういったしぐさや態度が少ない性分故か、祖母は青年の顔を心配そうにのぞき込んでくる。おまけに煮物が器の中に転がり落ちる瞬間も見られていたようで「もしかしてお口に合わなかった?」と青年が食事に不満があるのではないかという不安まで抱かせてしまった。
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