無題春日たちは横浜に残り、
東城会は大阪で警備会社を経営することになった一行。
その数日後、
元東城会の六代目会長、堂島大吾は春日にある頼みをする。


六代目、頼みってなんでしょう・・？

もう東城会は解散したんだ、六代目と呼ばなくていい。

あ、そうでした・・・。じゃあ、大吾、さん・・・？

まぁ・・・それでいい。（名前で呼ばれた・・・。）
で、本題に入るが、お前は確か、会社を経営していたな？

はい、一番ホールディングスといって、色んな子会社まとめてます。

今そこは、採用募集しているか？

へ・・・？常時募集はかけてますけど・・・。

いや、俺が就職するつもりはないんだ、ただ・・・

・・・ただ？

友人に紹介したいんだがいいだろうか？
そこはパワハラ、モラハラもなく快適に働けると評判だったんでな。

えぇっ、そりゃ勿論！大吾さんのご友人ならさぞ立派な経歴を
お持ちなんだろうなぁ・・・！！

んん、すまない、経歴に期待はしないでほしいんだが、
多分、やる気は人一倍あると思う。
どうか、採用してやってくれないか？

そうなんですか？でもその人に直接会ってみないことには・・・。

わかった。今、連れてくる。

今ぁ？！

ねぇねぇ、さっきから聞いてたけどさぁー、
春日君の面接見たことないから俺、ちょっと見てみたいんだよねー
春日君の社長としての貫禄っての？ついてきていい？？

趙か。まぁ、邪魔しない程度ならいいけどよ。

やりぃ～。楽しみだなぁ～。

で、面接場所は？

本社で、とお伝えしてください。

わかった。…おい、今から一番ホールディングスという会社に来い。
いいから、とりあえず来るんだ、スマホのGPSがあるだろ？それで来い、じゃあな。

・・・・・・。

…色々とすまないな、よろしく頼む。

えぇ、任せてくださいや！




一番ホールディングスにて



どんな人だと思うー？春日君～。

いやぁ、大吾さんのご友人だからやばいやつではないと思うけどなぁ。

一応、フォローするために俺も来た。
あいつ、前に面接受けて男たちに襲われたとかいう
トラウマがあるとか言ってたからな。

そ、そうなんですか？（なんだ？何があったんだ？）

コンコン（ドアのノック音）

あっ、来たみたいだね。

どうぞー。


失礼しまっす！

（おお、ずいぶんガタイの良い男が来たな。
俺よりちょい年上？てか、大吾さんのご友人だからそりゃそうか）

名前と経歴をお願いします。

はいっ！品田辰雄でっす！！前はプロ野球に所属してたんですが
今は風俗ライターしてます！！本日はよろしくお願いいたします！！

・・・え、えぇーーー？？ちょっと、大吾さぁぁああん？！

ん、なんだ？

なんだ？、じゃないですよ！訳ありすぎるでしょこの人！

だから、経歴は気にしないでほしいんだ。
大事なのは、その会社で働きたいという気持ちだろ？

そ、そうですけどぉ・・・。

へぇー、なんかすごい人きたじゃん。面白くなりそうだねぇ。

すいません、ちょっといいですか？

な、なんでしょう？

俺は、堂島君の紹介で無理やり連れてこられたっていうか・・・。
余計なお世話をされちゃったんですよねぇ、だからここに入るつもりは
なくってぇ・・・。

え？就職するつもりじゃないの？

えぇ、今は名古屋で仲間と一緒にいるほうが居心地良いんで、
多少金銭面で辛くてもそこはなんとか大丈夫なんで・・・。

この人、サラッとタブーなこと言ったよ。
金のために働くみたいなこと言っちゃったよ。

辰雄！お前それでいいのか！老後とか考えてないだろ！
だから俺が渡した２０００万もらっておけば良かったんだ！

ちょっともううるさいよ！堂島君は黙っててくんない？！

……（なんだ、何を見せられてるんだ俺たちは）

ゴホン、えぇー、大吾さん？これはどういうことなんでしょう？
いったん面接やめましょうか？

本当にすまない、すぐ説得する。

いや、俺この状況黙ってみてられないっすよ。
時間を取らせた代償に少しばかり、介入しますからね。

あぁ・・・。

・
・
・


…なるほどなぁ、こりゃ感動ストーリーすぎるぜ。

…俺、泣いちゃったよ。

趙？！涙もろいなお前！

と、まぁこんな経緯で、俺はこの辰雄の現状を心配して、
一番ホールディングスの就職を提案したんだが。

余計なお世話だね。堂島君、俺あの事件の時言ったよね？
ヤーさんの世話になるのはごめんだって！

辰雄・・・俺はもう堅気だぞ。
俺は純粋に友人として心配しているんだ。
この気持ちを理解してほしいんだ。

気持ちはわかるよ？だけど、俺は名古屋から離れたくない。
高杉さんや、みるくちゃん達がいるからその気持ちには答えられない。

そうか、そうだよな・・・。

（説得しきれてないじゃないすか大吾さん・・・。）

ねぇねぇ、思ったんだけどさぁ春日君。君のぉ、
今の会社の総資金っていくらなの？？ぶっちゃけ。

え？それ聞く？えーっと、１００億は越えてるんじゃねぇかな。

ひゃ、１００億ぅぅう？！すっげぇ！大企業じゃん！

まぁな。一応、横浜一の企業だからよ。

春日さんすっげぇ、見た目ふつうにやくざだし、
正直フロント企業かなんかだと思ってたけど、やっぱすごいねぇ。

品田さん、俺をそんな風にみてたのかよ・・・。

じゃあさ、そんなに資金あるんなら支部とか作ったらどう？

そうですよ！社長！株主総会で１位になってから二人で
約束したじゃないですか、日本一、世界一の大企業にするって！

え、えりちゃん！いたのね！！

そのためには支部を立てることが第一歩だと思うんですよ。
だからどうです？名古屋支店！人材も今技術が高い人たちばかりなので
うまくいくはずです！

そうだな！えりちゃんの言う通りだ！
品田さん、名古屋支店を建てるっていったら、どうだ？来てくれるか？

えぇっ、そしたらみるくちゃんの体験取材できなくなっちゃうよ！
それはすごい困る！

うぅん、なんだか立場が逆転してるような感じがすんだが・・・。
じゃあよ、時間空いてる時で良いからよ、手伝い感覚でどうよ？

わ、わかったよ・・・。

やらせてください、だろ？

…やらせてくださーい！！

よぉし！その勢いだぁ！


こうして、一番ホールディングスは名古屋支部を設立することとなった。
この先、大丈夫なのだろうか・・・？？

2

数日後、春日とえりは、錦栄町にある大型オフィスに
名古屋支部を構えた。


、というわけで、猪狩、お前が名古屋支部の支部長になってくれ。

ぼ、僕がですかぁ！まだ平中のヒラ！平社員ですよ？！
それに僕は転勤ということになるんですかぁ！

まー、そういうことだなぁ。大海原の宮越ちゃんのことも
あるかもしんねぇけどよ、どうか力貸してくんねぇかな？
猪狩は資格もあるし、真面目だし、向上心は人一倍あるってこと、
俺がよぉ～く知ってっからよ。そこを見込んで、さ？

ふ、ふふふ、それを言われちゃあねぇ！
宮越さんには伝えたいこともあるし、
春日社長が言うからにはこの猪狩、パーフェクトな仕事
をしてやりますよ！

（乗せられやすいんだな猪狩って・・・。
てか、伝えたいことってプロポーズすんのかな。
俺と宮越さんの関係ってまだ知らなかったよな・・・？）

あぁー、その、よろしく頼んだぞ猪狩ぃ！

わっかりましたぁーっ！



社長、支部長の件、大丈夫ですか？

あぁ、勿論よ！前に世話になったやつを支部長にしたんだ。

へぇー！それは心強いですね！支部の件が順調に進んでてよかったです！

なぁ、えりちゃん。

はい？

あの、大吾さんのご友人は今、どうしてんだ？

え？あぁ、確か東京で荷物整理があるらしくて
そちらに行ったみたいですね。

東京だぁ？あいつは名古屋にいるはずだろ？
もしかして、東城会の荷物整理じゃねぇだろうなぁ・・・。
大吾さんに頼まれた可能性があるかもしれねぇ。

行ってみますか？

いんや、えりちゃんはここに残っててくんねぇか。
俺はあいつのこと、確かめに行くからよ。

…わかりました。気を付けてくださいね！

おうよ！



東城会


おう、この前のもじゃもじゃやんかー。
元気でやっとるんか？

えぇ、まぁ。ところで、今は何を？

見てわかるやろがい！東城会は解散したんやから
このとおり、身辺整理っちゅーとこや。
こういう地味な作業は性に合わんくて辛いわー。

やっぱりな・・・。絶対ここにいるはずだ。

は？なにがや。

ここに、大吾さんの連れが来たでしょう？

あぁ、あのでっかい野良犬みたいな奴やな。
今、冴島の兄弟と一緒に書類整理しとるで。

そうですか。ありがとうございます。
俺はそいつに用があるんで、これで失礼します。

おい、もじゃもじゃの！
今度ワシと喧嘩せぇへんか？！

考えさせてもらいますよー！！
（解散しても根っこは変わらねぇかこの人は。）

・・・あ、どこの部屋にいるのか聞くの忘れてたわ。



あの、ここにでっかい堅気？あぁ、もう皆さん堅気でしたね。ハハハー！
んで、なんか野良犬？みたいな人、どこの部屋にいるかわかります？

野良犬ぅ？誰だ・・・？
てかお前誰だよ？

元、荒川組の春日です。

お前が春日か！あん時はよくやってくれたよなぁ・・・！！
お前のとこの若は残念だったけど、みんなお前に感謝してるんだぜ。

そ、そうなんすかぁ？へへへ。俺、有名人になってんのかぁ。
で、野良犬どこにいますかね？

そうだなぁ、心当たりは・・・
そうだ、冴島のオジキと幹部会部屋に行くやつが多分そうかもしんねぇな。

そうだ！きっとそれだ！間違いねぇ！恩に着るぜ！


幹部会部屋


おう、春日か。こんなとこに何しにきたんや？

ご無沙汰してます、冴島さん。
そのー、ここに野良犬来ませんでしたか？

あぁ、野良犬か。おい、品田ぁ！呼んどるでー！

ちょっとー！？なんで野良犬で話が通るんですかぁ！？
俺ってそんな小汚い感じなんすか！？

せや。その身から出るだらしなさは拭いきれんものが
あるで。

うっわ、ひでぇー冴島さん。

そう、そうだった。品田だ。
お前こんなとこで何してんだよ？
俺の予想は、大吾さんに頼まれたとしか考えてねぇぞ。

あはは、大当たりです。
実は、堂島君に頼まれちゃってぇ、交通費も食事代も
全部出してくれるって言うから、旅行がてら来てくれないかって。
ほら、東京のごはんは一流のが多いでしょう？
堂島君の厚意に甘えてミシュランとか行こうかななんて
計画建てちゃって～えへへへへ。

お前ぇ、ほんと集るよなぁ。

品田のだらしなさもミシュラン級やな。

だって、堂島君が人手が足りないからどうしても、って
いうんですよ！？そりゃ、友人の頼みなら断れないでしょー。

まったく・・・。俺より年上なのに呆れちまうよ。

俺って、年下から見下されやすいんだよねぇ。
秋山さんにだって、溜口されてるからね。

ん、秋山か・・・。どっかで聞いたというか懐かしい覚えが・・・。

まぁ、俺のことは気にしないでよ。
ところで、春日さんは何しにきたのよ？

お前を連れ戻しにきたんだよ・・・。

え、おれ？

お前は俺んとこの支部に行くだろ？
その支部長の紹介があるんだ。

へ？そのために来たんすか？

そうだよ？

それだったらメールでもよかったじゃないすか！
なんでわざわざこっち来るんすかぁー。

メールだったらお前は見逃すか先延ばしするだろうと思ってよ。

せやな、品田はそういう男やで。

あっははー、皆さんよくわかってらっしゃる・・・。

んじゃ、冴島さん。すまねぇけど、こいつ連れて帰りますんで
大吾さんのことよろしく頼んます。

おう、ご苦労やったな。

ちょっ、俺まだ一食も東京メシ堪能してないんだけどー？！

うるせぇよ！お前は口ばっかりで、少しはちゃんとしやがれ！

えぇ、春日さんひどくない・・・？



異人町


猪狩、こいつが名古屋支部に配属する品田だ。

っしゃす！よろしくお願いしまっす！

（なんだ、こいつは・・・でっかい野良犬だ）

あ、今野良犬って思ったでしょ？
絶対そうだその目、その表情！俺のヒートアイがそう訴えてる！

すごいな！品田さんよくわかりましたね！
その観察力、僕も見習わないとな！うん！

なーにが、ヒートアイだよ。
俺のドラクエフィルターぐらいこじらせてんじゃねぇか。

え？なんすかそのドラクエフィルターって。
社長ってそんな妄想癖あるんすか？
俺のヒートアイは現実ですけどね！こう、バッティングで
すごい力を発揮するんですけどねー！？

はぁー！？てめぇ、ドラクエ舐めてんのか？
一作でもやったことあんのか？
どーせ、お前は脳内野球まみれの脳筋野郎なんじゃねぇのー！？

なんですか、その言い方はー！
春日さんそれでも横浜一の社長ですか？！
そんなんじゃ、パワハラモラハラのハラスメント企業に
なりかねないと思うんですけどー？！

ちょっと二人とも！？ビークワイエット！シャーラップ！！
小学生みたいな喧嘩はよしてくださいよ！

おい、猪狩。こいつの採用は取り消すぞ。

へぁ！？何を言い出すんですか！
何のために品田さんを連れ戻しにきたんですか！

あぁー、はいはい。わかりましたよ。
こんな社長とこで働くなんてこっちから願い下げだね。

あぁそうかい！じゃあ、一生風俗ライターで食いつないでいけよ野良犬！

うるせぇ！もじゃもじゃ頭！

（な、なんて幼稚な争いなんだ・・・。）
二人とも、冷静になりましょうよ？ね？
こんなの希望に満ち溢れた２０代に見せていいようなものじゃないですよ？

猪狩さん、わざわざ出向いてもらって申し訳なかったっす。
じゃ、俺は帰るんで。支部長頑張ってください。

ちょっと？！心にもないこと言わないでー！！
社長！？あなた引き止めないんですか！？

もう、いい。すまなかった猪狩。
他の人材もいることだし、そっちに任せるとするよ。

う、うぅん・・・。これは大変なことになったぞ・・・。
えりさんに相談したほうがよさそうだな・・・。


屋上


ったく、あんな野郎だとは思わなかったぜ。
大吾さんにはわりぃけど、ありのままを伝えるしかねぇかな・・・。
でも、だめだっていったらなんていうかなぁ。
絶対悲しがるに違いねぇだろうなぁ。


ビルのロビー


もう、なんなんだよ。手伝えというかと思えば、無理やり
会社に連れてこられて、振り回されてばっかりだ。
堂島君に紹介してもらったのに悪いけど、ここは縁がなさそうだ。
あぁー、名古屋に帰りたい！！



秘書室


えりさん。

あ、猪狩君。どうしたんですか？

あの、さっき来た人なんですけど・・・。

あぁ、品田さんね！どうだった？

社長と喧嘩しちゃいまして。

…えぇ！？どうして！

いやぁ、どう説明してよいやら・・・。
もう二人は相性悪すぎですね。

そ、そうなの・・・？
二人とも、とびきり明るくて気が合いそうだと
思ってたんだけど・・・。

犬猿の仲状態ですよ！なーんであぁなるんですかねぇ！
あれは頭が悪い！どう、考えても！冷静に！なってなぁい！

・・・猪狩君も冷静になろうね？

ゴホン、すいません。
で、このままだと社長のメンツが丸つぶれですし、
何より、大吾さんとかいう人にも・・・。

うーん、どうしよう。
私だけじゃどうにかできる問題でもなさそうだし・・・。


だれか、仲直りの仲介適任者が・・・。

じゃーん、俺なんかどう？

ちょ、趙さん？？なんでここに？

えー、なんでって・・・俺、春日君の面接採用を見届けるっていったじゃない？

だからといって、ずっとここにいたんですか！？

ずっといたわけじゃないよ？サバイバーでハン君と飲んだり、ナンバちゃんと飲んだり、
カラオケで歌ったり、たまーに横浜琉民のとこ見に行ったり、さ？？さっき、琉民から戻ってきたとこなのよ。

（（すごい暇してるじゃないかこの人・・・！！））

そ、そうなんですね・・・。
趙さんはなにか案があるんですか？

あるあるー！そりゃ、春日君とは固い絆で結ばれてる仲だもん。
お互い何考えてるかーなんてすーぐわかっちゃうもんね。

ハハハ！それは聞き捨てなりませんね。
私は本名を、そして私自身の生きる目的を伝えた仲です。
前は春日さんと平安楼で麻婆豆腐を食べに行きましたからね。
あっどうも、ハン・ジュンギです。

（なんかいきなり出てきたー？！）

ハン君じゃーん。もしかして、琉民の帰り？
一緒に来ればよかったのにぃ。

こっちに来る前に少しばかりやることがありましてね。
これを準備していたのです。

あー、あれね、ありがとねハンくん～。

？？？？

なんですかこれ？パネル？

TVで見るような感じですね。

フフ、ただのパネルではありません。
これはプロフィールです！！

プロフィールぅ？？

えぇ、偶然にもこれを使うときが来てしまいましたねぇ！
ねぇ？趙？？

そうなんだよ～。この結論に至ったのにはこういう経緯があったのよ



コミジュル兼横浜琉民にて

ソンヒ、お時間いいでしょうか？
相談したいことがありまして・・・。

ん？なんだ？珍しいなハン・ジュンギが相談を
持ちかけてくるなんて。

あの、コミジュルのことではないんです。
私達の仲間の一人、春日さんのことで・・・。

おぉ、春日か。春日がどうした？

春日さんともっとお近づきになりたいのです。
絆はもうがっしりと深まっているんですが、
それ以上に私は春日さんのことを知りたくて・・・。

ハン・・・。
私はちょっとそういうのに疎くてな、すまない。

そうですか・・・。

でも、私から言えることは一つ、
「お互いのことを隅々まで把握する」これに尽きるな。
だから、もっと二人で話し合ってみるといいんじゃないか？

なるほど、お互いを知り合う、ですね。
ありがとうございます、ソンヒ。
さっき、Gホイホイ買って設置してきたんで、
もう当分Gは出ないかと。ご安心ください。

あ、あぁ、ありがとうな。

では、私は仲間のところへ帰ります。

サバイバーか？

えぇ。

そうか、最近なんだか表情が豊かになったな。

え？そうですか？

あぁ、コミジュルで監視していた頃よりもずっと、な。

ははっ、そうかもしれないですね。
仲間というのは案外悪くないですよ。
じゃあ、また。



サバイバー


ねぇ、ナンバちゃん。

あ？どうした趙？

俺さぁ、春日君に前、馬淵の件で借り一つ作っててさ、
そこからどうも、春日君のこと気になっちゃってさぁ。

なるほどな。恩を返したいって？

まぁ、そうなんだけどぉ。
それと、気になってるってのはもっと春日君の事を
知りたいって思って。どうしたらいいかなぁ？

お、俺はそういうのとか疎いからなぁ。
思い出すのは、看護師時代の失恋ばかりでよ・・・。

そっかー、ごめんね。変なこと聞いちゃったね。

いや、いいよ。ただ、俺から言えるのは
「「相手のことを隅々まで把握する」」
・・・え？？なんだ、ハン・ジュンギもいたのか。
てかなんで言うことわかったんだよ？

えぇ、最初から聞いていましたよ。
これは、ソンヒの助言です。
それにしても…まさか、趙まで悩んでいたとは。

あら、もしかしてハン君も？奇遇だねぇ～。

うーん、誰か、恋愛経験豊富な人っていないのかなぁ？

おい、そりゃ俺のことだろ～。

あ、足立！もしかして、昔相当モテてたってやつか？！

まぁ、そうだな。昔はブイブイいわせてたクチだぜ。

おいおい、まじかよ。
その割にはここまで独身貫いてるじゃねぇかよ。

馬鹿、お前それ言うなよー。遊びすぎたんだよ。
ブラブラしてたらいつの間にか年食ってたわけ。

ふぅーん、それなら良いアドバイスが貰えそうだね。

すみません、足立さん。どうか私達に恋愛テクというやつを
教えてもらえないですか？

はぁ、そうだな。
まぁ…要するにあれだ、「ﾋﾟ～」だ！！

あ、あ、あ、あああ足立さん！！
そそそ、そんないきなりそんな「ﾋﾟ～」だなんて！！
フフフ、フフフフ・・・。

おい、ハン・ジュンギ、お前まんざらでもねぇって顔してるぞ。

足立サァン、もうちょい良い案ないの？

すまん、俺はナンパばかりしてきたから、
具体的なことはなぁ・・・。

ナンパ、ねぇ・・・。
・・・良いこと思いついたー！

えっ、なんなんですか。

今から二人で、女子大生をナンパする。


えぇ？どうしてそうなるんだよ？

今どきの、恋愛事情ってやつよー。
女子大生でも、OLさんとかでもいいんだけどぉ、
こう、心をグッとつかむような距離の測り方を
学べると思うんだよねぇ。

それ、名案ですねぇ！！
ナイスです、趙！！

大丈夫か？お前ら、３０代のおっさんだろ？
歳を考えろよ？

私の顔をみてくださいよ！
この顔と、紳士的対応で、女性たちは
素直に応じてくれるはずです。

イケメンなのは認めるんだな。

俺はぁ、自分で言うのもなんだけど、
コミュ力に長けてるからそこで女の子をキャーッチ
的な・・・？？

う、うーん、なんだか嫉妬感が否めない・・・。
まぁ、二人なら大丈夫なんじゃねぇの？？

でしょうー？
じゃあ、さっそく行くとしますかハン君。

いいでしょう。さっさと聞きに行って
どっちが彼の心をキャッチするのか競争と行きましょう。

あいつら、やけに張り切ってんなぁ・・・。
愛されてんなぁ、あいつ。


異人町イセザキロード周辺


そこの、お姉さん方！

はい？（うわ、めっちゃイケメン！）

少し、聞きたいことがあるんですが・・・。
今、お時間はありますか？

え？えぇ！いくらでも！！喜んで！

あー、じゃあ、そこの喫茶店でいい？

いいよー！

（すんなりいけましたね。）

（ハン君、すごいねぇ。俺が出るまでもないじゃん。）



喫茶店



でさぁ、二人とも気になってる女の子がいてさぁ、
距離を縮めたいからお互いのことを知り合いたいわけ、
こういうの、女の子じゃないとわからないと思ってさぁ。
どうしたらいいと思うー？？

うーん、そうだなぁ。
最近合コンとか行ってて、よくやるのが
プロフィール交換だねぇ。ね？？みかちゃん？

そうそう！プロフィールといえば、
小学時代にプロフィール交換とかやったよねー。

うっわ、懐かしー！！あれ、すごいハマってたよねー。
欄に、好きな人は？とか書かれててすごい恥ずかしかったなぁ。

なるほど、プロフィールですか・・・。
やる価値はありそうですね。

良いねぇ、それ。具体的に教えてよ～。
昼ごはんおごったげるからさ！

えー！いいの？！ありがとー！！




・・・良い情報が得られましたね。

うん、さっそくそれつくってみようよ。
どうやって作ろうか？普通の紙じゃインパクトに
欠けるよねぇ？

そうですね・・・。
質屋にたしか大きいパネルが売っていたはずです。
春日さんたちと来た時に見かけたんです。

・・・なんで質屋に売ってんだろね。
まぁいいや。俺は質屋に行くからハン君は
コミジュルでその質問欄とかデータにしといてくれる？

わかりました。では、また後程会いましょう。
データ化した後、印刷するので、買った後パネルは
こちらに持ってきてください。

おっけーい。んじゃまた。


～一時間後～


買ってきたよー。

ありがとうございます。
ソンヒも手伝ってくれたので早くデータ化
できました。ありがとうございます、ソンヒ。

いや、私はこういう女子っぽいことをしたことが
なかったんでな。ついつい、ノッてしまったんだ。

（（かわいい））

では、印刷に取り掛かるので、趙は先に会社に
行ってても大丈夫ですよ。

え？いいの？ありがとねぇ。
じゃ、社長室で待ってるよ～。



HK

…とまぁ、こんな感じで今に至るわけよ。

いや、奇跡的な交わり！！
アンジャッシュに通ずるものがあるッ！

ちょうど良すぎませんかそのパネル！

えりちゃん、猪狩君。
ぜひ、これを使ってくれたまえよー。

で、でも、二人で一所懸命つくったものなのに・・・。

いいんです。でも、よく考えてみてください。
どちらも、春日さんのことを知る必要がある。
これは日本でいう、一石二鳥といったところでしょう？

あと、大吾君経由で、品田にパネルを渡す。
で、お互いに二人を知ってもらう。

そ、そうだ！すごい名案だ！すごいぞ、
グッドタイミングです、二人共！

ははは、あとで麻婆豆腐をおごってくださいね猪狩君。

あ、俺は平安楼のエビチリとキムチでよろしく～。

わ、わかりましたよ！おごります！
（隙がないなぁ、二人とも・・・）


じゃ、えりちゃんは品田のとこ行って、
猪狩君は春日君のとこね。

なんで、えりさんが品田のとこに？

だってー、美人な女の子好きそうじゃない？
あの雰囲気は絶対、乗ってくれるはずだよ。

なるほど、風俗系やってるぐらいだからなぁ・・・。
意外とよく考えてるんですね、趙さん。

でしょでしょ？？俺、総帥やってたから。

ソ、ソウスイ・・・？？
（なんだかよくわからないけど、とりあえずすごい人なんだな）

では、二人共よろしくお願いしますね。

「「はいっ！！」」

3

春日社長！

あぁ、猪狩か。さっきはすまなかった、
取り乱しちまってよ。

いえ、僕のことはノープロブレムですから・・・。
それよりも、社長・・・。
社長はほんとはこのままじゃいけないって思ってるんでしょう？
品田さんを採用して、一緒に働きたい。
僕も思ってることは同じです。
だって、仲間は沢山いたほうが良いでしょう？

猪狩・・・。

今からでも遅くはないです。
引き止めて彼を支部に配属させてください。
これは支部長からのお願いです。

・・・ありがとなぁ、猪狩。
俺はよ、最初お前のこと口煩い真面目世話焼き野郎
だと思ってたけど、意外と熱い奴なんだな。

なっ、僕のことそんな風に・・・。
あんなに大海原で合格を祝いあったというのに・・・。

へへ、冗談だよ。
前に言っただろ？資格をとるためにいくらでも勉強してる
お前はそこらのチャランポランで大企業に行った奴よりも
誰よりも努力家だって。俺はそこを見込んでお前を採用したんだよ。

社長・・・。

じゃあ、品田を説得するとしますかねぇ！
ねぇ猪狩君？？

え、あ、はい！！！
（あれ、せっかくパネル準備したのに・・・。）