何故だか自分は今、会社の同僚に連行されてケーキ屋にいる。それも男の。
どうして、と言っても大元の原因は自分だった。
「なに遠い顔してんだお前」
「……良くそんなに食べられるものだな、と思って」
「お前が俺の腕切り落とさなきゃ、ここまで食わずに済んだんだよ!!」
目の前でケーキを食べ続けているのは同僚のタイラーだ。
何故こんなことになっているのかというと、簡単に言えば俺が彼の腕を切り落としたからである。
今日は支店近くでの任務。なかなか手強い相手にようやく戦闘が終了したと気が抜けたらしく、自分の操るカード――ラヴアンドピースに宿る自我に乗っ取られかけてしまった。
すぐに精神力を持ち直し抑えつけたものの、その一瞬の間に隣にいたタイラーの片腕を切り落としてしまったのである。
幸いなことに彼はまだ能力――カロリーズハイ発動中であり、すぐに欠損部位の再生が始まり事なきを得たのだった。
「今日の戦闘で残りのカロリーが結構ギリギリだったのに……お前に切られたお陰でもうほとんど残ってねぇよ」
「それは本当に、悪かった……」
「俺がグローブ脱ぐのあと少し早かったら、もう戻らなかったんだぞ。本当に気をつけろよな」
「あぁ……」