アスデフ観用少女パロの序盤だけ供養――兄が国を捨てたのは俺のせいだ。
玄関から物音と上機嫌に自分を呼ぶ兄の声がして、机に向かっていたデフテロスは軽い驚きに顔をあげた。
出迎えに立ち上がるついでに時計を見る。レポート作成に夢中で気づいていなかったが、かなり遅い時間だった。
(……妙だな)
少しの違和感を覚える。
アスプロスは今日は勤め先の関係で外食してくると言っていたはずだ。
合理的かつ外面から想像されるより神経質で人間嫌いな所のあるアスプロスは親しい同僚と個人的に飲むならともかく「仕事のつきあい」というものは蛇蝎の如く嫌っていて時間外労働扱いしてはばからない。
いつもなら最低限礼を失さないと本人が判断する程度の時間が経過した時点でさっさと席を立って帰宅してくるし、多少の差はあれどこか機嫌が悪いのが常だった。
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