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    case669

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    39.初めての朝帰り(レオジャミ)
    鼻ちゅーと良く寝れたかよってにこにこする先輩が書きたかっただけなのに長くなった

    ##レオジャミ

    目を開けたら見慣れた天井、明るい日差し。
    こんなにもすっきりと目覚めたのは久方ぶりだなとぼんやり思い、それから慌てて跳ね起きようとしては腹の上にのし掛かる何かに阻害されてぐえ、と変な声が出た。横を見れば随分と穏やかな顔で眠るサバナクローの寮長。
    そう、ここはレオナの部屋だ。見慣れてしまっていることに思うところが無いわけではないが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
    昨夜、レオナとベッドを共にした。それは別に構わない。お互い合意の上のことであるし、これが初めてのことでもない。だがのうのうと朝まで、仮にも他国の王弟殿下のベッドで朝まで呑気に寝てしまうなど、ジャミルのプライドが許さない。
    寝所とは本来、何よりも安全が約束された場所であるべきだ。念入りな防御魔法がかけられていたとしても、ベッドに他人を連れ込む時はすぐ手が届く場所に護衛が控えているべきであるし、部屋の主が一番無防備になる時、つまりは睡眠をとる時は逆に羽虫一匹たりとも部屋に侵入してはならない。
    護衛の一人も連れてきていない王弟殿下にそれは無理な相談なのだとしても、だからこそ、事を致す時はレオナの一番安全な場所であるべきベッドに入ることを妥協したとしても用が済んだらさっさと退室すべきなのだ。それがジャミルがレオナに対する害意が無いことを証明する最低限の礼儀だと思うし、レオナの褥に入ることを許されたことへの感謝を伝える術になる筈だ。
    いくら昨夜、疲れていた所を呼び出された為に事の最中に体力の限界を越えてしまったのだとしても、せめてレオナが部屋の外へと放り出してくれていたら良かったのに。
    別にレオナに逆らえないわけでは無い。身分の差こそあれど、レオナはジャミルに命令できる立場では無いから、ジャミルが断ることは出来るのだ。それなのに、重い身体を引き摺ってでも呼び出しに応じたのはジャミルもそれを望んだからであって、途中で寝落ちてしまったのはジャミルのミスだ。それを責めるならまだしも、変な気遣いはしないで欲しい。レオナの身を守る為にも。

    呆然としている間にも腹の上に乗っていた太い腕が抱き枕よろしくジャミルを引き寄せてがっちりと捕まってしまう。
    「ちょっ……と、…………あの、レオナ先輩」
    掛ける言葉に迷って、潜めた声は呼ぶことしか出来なかった。学舎であれば同じ学生という身分の上級生を起こすことに躊躇わないし、情事での戯れなら、盛り上げるためにいくらでも身勝手に振る舞ってみせられる。
    だが今は。
    ジャミルは王の褥に居てはならない侵入者だ。寝起きの不機嫌な獣に噛み殺されても文句は言えない。
    「レオナ先輩……すみません、離してください」
    だがいつまでもこうしているわけにもいかず、うつ伏せに眠る肩に触れ、そっと揺する。穏やかな寝息はそれくらいでは途切れず、仕方なくもう少し力を込めてもう一度。
    「んぅ……」
    ぴくりと眉が寄せられ、むずがる姿はあまりにあどけない。隣にジャミルがいるというのに全く危機感を感じられない様に絆されつつも苛立つ。ジャミルなど取るに足らないと侮られているのだろうか。
    「先輩、いいから離してください」
    自然と押し退ける手に力が入った。無理矢理にでも離れようとするジャミルとは反対に、ぐ、と腹を抱くレオナの腕にも力が籠る。
    「……うるせぇ」
    地を這うような寝起きの低音。やり過ぎたかと多少後悔するがもう遅い。のそりと身を起こしたレオナがジャミルの上へと覆い被さり、半分しか空いていない眼がじっと見下ろしていた。
    「……気持ち良くお休みの所を起こしたのはすみません、離していただけたらすぐに、」
    なんとか解放してもらおうと言葉を紡ぐ最中に近付くレオナの顔。まるで、キスをするかのように間近に迫る美しく整った顔に思わず息を詰める。長い睫毛が下ろされ、吐息が触れる距離で、身を固くてただ成り行きを見守ることしか出来ないジャミルの鼻先に、ちょん、と触れた感触。
    つんと高いレオナの鼻先が、一度、二度と、じゃみるの鼻先に触れ、それからするりと頬を擦り付けるようにして懐かれる。まるで、それは、猫のような。
    「……良く眠れたかよ」
    呆気に取られるジャミルを見下ろせる所まで再び身を持ち上げたレオナが、問う。
    「あ、…………はい……」
    何も考える余裕なく素直に答えてしまってから、あまりにも間抜けだと気付いて舌打ちしたくなる。他国の王弟のベッドで朝まで寝こけて普段よりも良く眠れただなんて恥でしか無い。
    「そうかよ」
    だがそれを聞いたレオナがふわりと、あまりにも邪気無く笑うものだから。その顔がとても綺麗だったから。ジャミルはただぽかんと見惚れることしか出来なかった。
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    case669

    MEMOだだっ子なアデレイジグナタス要塞の、宰相の部屋。
    レイヴスが数度のノックの後、返事を待たずに開けたその部屋の中に、宰相が落ちていた。
    「………」
    これが普通の人間相手ならば心配してやるべきところなのだろうが、相手はアーデンである。何を思って床の上に大の字になって転がっているのかは知らないが、ろくでもない事を考えているのだという事くらいは流石にレイヴスも身に染みて理解している。扉から机までの直線上に堂々と落ちているアーデンを踏みつけてやりたいのは山々だが、下手に突いて関わり合いにはなりたくないので投げ出された足の方から回り込んで机へとたどり着く。広げられたままの資料や書類をざっと見渡し、邪魔にはならずに目に着く場所を探して持って来た報告書をそっと置いた。本来ならば書面と共に口頭で概要をざっと説明する予定だったが、本人がこの状態なら諦めるのが吉だろう。将軍としての務めはこれで十分の筈だ。
    そうして踵を返そうとした右足が、動かなかった。思わずつんのめりそうになるのを辛うじて堪え、足元を見ればだらりと地面に寝転がったままレイヴスの右足を掴むアーデンの姿。
    「普通さあ、人が倒れてたら心配するもんじゃないのぉ?」
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