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    shiraumenbou

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    shiraumenbou

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    小説の一部タグのやつ(微加筆修正済み)

    クラーマさんはフォルムがなんだか忍足ゆーしに似ている、と思っている

    「おや、めばちこですか」

     秋の里、居酒屋の前の長椅子。スバルと連れ立って待ち合わせ場所にやってきたイカルガは驚いたような眉を作って言葉を発した。
     聞き慣れない単語に小首を傾げたスバルに、

    「・・・・・・ものもらいのことだ」

     心底憂鬱、としか言いようのない表情のクラマがいつにも増して低い声で答えた。右の上まぶたにぷっくりと赤い腫れ物をくっつけた彼の横には、笑い疲れたとばかりにぜえぜえと息を切らすカイ。仮面のふちに涙が光るほど笑い転げたのであろうが、おかげでクラマの機嫌の悪さは過去一番か二番を争う域に達している。慌ててクラマのもとに歩み寄るスバルに続いてイカルガも膝を曲げた。これはなんとも痛ましく見えるな、と感じた通りに眉を寄せ心配の眼差しを送ることにする。

    「痛くはないんですか?確か里の門のところに行商の人がいたはずです!薬が無いか見に行きましょう」
    「平気だ、スバル。もう目薬は指しておいた」

     はあ、と息を吐いたクラマの顔を覗き込みながら、あせあせとスバルが声をかける。気だるげな雰囲気を纏いながらも、にやにや意地の悪い笑みを浮かべた鬼神が口を開きかけたのを素早く見つけたクラマは、先制するように早口に語り出した。

    「昨夜遅くまでゲームをやりこんでしまったからな。寝坊してしまってな。今朝は朝食を食べる暇もなく急いで歯を磨いて、髪を整えて、・・・・・・おいお前、何回も言うな。大概にしろ、で、鏡を見たらこうなっていた、というわけだ」

     幼稚な茶々を入れる鬼神を睨め付けながら風神は何度目かも分からぬ深いため息をついた。憎悪さえ滲ませた吐息も意に介さず、クソ天狗のため息回数の発表だ〜、などとカイは言い出している。イカルガは苦笑してただ見つめていた。

    「はあ、念のためだ。スバルとイカルガはあまり顔を近づけるなよ」

     スバルとイカルガそれぞれに一拍ずつ視線がとどめ置かれたのち、言葉がかけられた。発言の主は返事を待つことなく、ふい、と普段通りな涼やかな横顔を向けながらカイに毒を浴びせ始めている。スバルと共に忠告に従って立ち上がったが、確かに自分にも向けられたぶっきらぼうな心配が、一瞬据えられた眼差しが妙に重い。はい、と従順に返事をしている舞手を横目に、地面についたわけでもない下衣を手ではたいた。
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