逋ス譏シ螟「縺ィ繝繝医☆繧あっ、これ夢だと気づいたのは体に触れようとした手が空を切ったからだ。距離を誤った訳ではないのに目の前にいる男、ミヒャエルカイザーには絶対に触れなかった。
現在、俺は遊園地にいる。何故か親が福引きで当てたからといって、折角だからと俺を渡してきたのだ。それをすっかり忘れていて、家の掃除をしていたときに出てきたときにはヒヤリとした。期限を見ると明日まで、わざわざ貰ったものを蔑ろにするものなんだかと思ったのと、休みが重なって行くことに決めた。
事前に時間と場所を調べておいたおかげで特に迷子になることはなかった。だけど、距離があるので、電車のなかで寝てしまった。降りる駅の前ギリギリで目を覚ますことが出来たから良かった。ホッと安心して胸を撫で下ろした。駅からは直通でバスが出ていると聞いたので、バス停を探す。平日だからなのか並んでいる人は少なかったものの無事に乗ることが出来て目的地に着くことが出来た。
「やぁ、世一。」
聞き覚えのある声が聞こえた気がして振り返る。そこにはカイザーが立っていた。勿論、ここは遊園地なので、ユニフォームではなく私服を着ていた。今まで見たことがなかったのでまじまじと返事もせずに見つめてしまう。
「おいおい、そんなに見つめるなよ。本当に世一は俺のことが好きねぇ。」
「あっ、悪い。」
流石になにも言わずに見ていたら気になったようだった。いつの間にか数分経っていた。
「カイザーはどうしてここに?」
気になってそう聞いてみるも、笑ったままなにも答えずにいた。それを不思議に思って手を伸ばすが、出来なかった。カイザーはそこにいるのに居なかったのだ、
「は?」
「・・・あぁ、初めてだったか。説明をしなくて悪かったな。俺は本物のミヒャエルカイザーじゃない」
状況を理解できていない俺を放って、そんなことを淡々と話すカイザーは本人じゃないらしい。手に触れられないのなら
「俺の見てる幻ってこと?」
「まぁ、簡単にいうとそんなところだ。世一は白昼夢って知ってるか?」
「しらない、けど。」
目を擦ってみるも消えない。え?マジでなんなの?
「ほら、手は繋げないが側には居られるぞ」
「しないのか?デート。」
「えっ、」
「ほぉら、前向け世一。今から落ちるぞ」
「はっ?」
言葉通りに前を向いたのがバカだった、目の前には空が広がっていて、とっても綺麗であった。が、今乗っているのはジェットコースター、登った先にあるのは下り。つまり落ちる
「ぎゃあああああああああああああああ」
今日一番大声を出した気がする。強風が俺を向かって当たるし、心臓がうるさかった。ジェットコースターが動く度に体がもっていかれて俺はもう死んだと思った。そんな目に遭っていたから、兎に角早く終わってほしいと願っていたのが、叶ったのか速度がだんだんと落ち着いてきた。終わったかと安心してさっきまでの高ぶっていた気持ちも落ち着いた。隣に座っているカイザーの姿を見る余裕すらなかったので、今度からはジェットコースターに乗らないと決めた。せめて乗るとしても子供用ぐらい、できれば乗りたくはないがこれよりは大分ましだろう。そんなことを考えていて現在地を下を向いたまま確認しなかったのが悪かった。まだ終わってなかったのだ。
「まだ終わってないぞ」
「は?」
そうえば、終わったはずなのにスタッフさんの声も聞いていない、ガタガタという音しか聞こえなかった。まだレールは続いていたし、終わってなかった。頭を抱えそうになったが、手を離したら俺は死ぬので唸っていた。
「え、なに、マジで?」
「クソッ楽しいなぁ、よいちぃ~~!」
チラリと目線を向けると、隣のカイザーはにまにまというか、本当に楽しくて楽しくて仕方ないと思うほどに笑顔だった。よく見覚えのある腹のたつ笑顔、俺をからかってくるときによくカイザーがする顔。今までされたことを思い出すと、とてもムカつくがそれどころではない、何故なら
「くそぉがあああああああああ殺すうううううううう」
「俺は平気だが、世一はまだまだお子さまねぇ」
「うる、せぇ」
「あれに乗ろう。あれなら世一も乗れるしいいだろ?」
「あれ?まぁ、いいけど、」
指を指した先にはメリーゴーランドがあった。人がいないのか動いてはいなかったので、すぐに乗ることができそうだ。先程のジェットコースターに比べれば全然乗れるだろう。比較対象の差が大きすぎる気もするけど、そんなことは置いといて。
椅子引いた方がいいのかな、でも、そんなことしたら人がいないとは言え目立つのはと考えているとカイザーは椅子に座った。
「心配しなくともちゃんとするし、俺のことは気にしなくてもいい」
「あぁ、わかった」
「世一、俺のことが好きだろう。それもlikeじゃなくてlove、恋愛的な意味でだ。」
その瞬間時が止まった。それに対してなにも言えなかった、痛いところを突かれてしまった。自分が見ないフリを、感情を閉じ込めて、なにもせずにずっとしていたところ。
「おー、もしかして図星かぁ?」
「うるさい、バカ」
思いっきりコーヒーカップを力一杯回した。ぐるぐると回転したが、目の前のカイザーは涼しげな顔で俺を見ていた。とにかくこのむしゃくしゃした気持ちを無くしたくて、ひたすら動かしていた。きっと分かっていたんだと思う。
「なぁ、カイザー。最後にあれに乗ろう」
沈黙が続いて
「お一人様ですか?」
「えぇ、」
買ったチケットを見せて開いた観覧車へと、カイザーとともに乗り込んだ。観覧車の中にはカメラはなかったので、独り言が多くても誰も気にしないだろう。ここでなら自分の気持ちと話すことができると、真っ正面に座っているカイザーを目にいれた。
「俺さ、カイザーの事が好きなんだよね」
告白とも呼べるそれがスラリと話せたのは目の前にいるのが、本人ではないからなのか俺のカイザーなのかは分からなかった。ただただ、楽だった。今なら愛していると言えるぐらいには、伝えたくて聞いてほしくてしょうがなかった。
「世一はこれからどうするんだ?」
「そんなの決まってる!俺はカイザーとここに来るよ。夢で終らせてたまるか」
「そうか、」
「まだ時間はあるみたい、買い物していい?」
「素直につけてほしいなら言えばいい、これでどうだ?似合ってるか?」
「・・・くっっっっっそ可愛いし、くそ似合ってる。」
「はぁ~、世一は本当に俺が好きね。」
「なぁ、写真とっていいか?覚えておきたい」
「別に構わないが撮ったところでなにも写らないぞ?」
「それは分かってるって、」
そんなことは分かっている、それでも
「にゃーなんてな」
「ん?世一?よ、世一?待て、シャッター音を止めろ。おい、」