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    すすき

    ミスブラ(ブ受)

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    すすき

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    お題「ときめき」ミスブラ

    ブラッドリーが「ミスラつよい♡俺が絶対ぶっとばす♡」って考えつつ二人がケンカしてるだけです。
    気づいたら八割くらいケンカしてた。
    魔法戦闘とか初めて書いたので多めに見てください……。

    この殺気の理由は忘れてしまった。もし覚えていたとしても、この圧倒的な力の前では無意味だろう。血のように赤い髪を揺らし、静かな殺気だけを湛えてブラッドリーを見下ろす緑の瞳にぞくりと背筋が粟立った。極上の獣、絶対なる帝王。この男を前にして血が躍らないほうが嘘だ。何がきっかけか、など些細な話だった。
    愛銃を構えて魔力を練った。挨拶代わりに二発三発と撃ち込んだ弾はあっさりと障壁にはじかれる。
    魔力のゆらぎを頭上に感じて飛び退けば、寸刻もなく巨大な岩が落ちてきて地面をえぐった。地響きを裂くように冷気が貫き、先程までブラッドリーが立っていた場所が瞬時に氷に包まれる。岩が凍り付き、耐えきれなくなったように砕け散った。
    攻撃が掠ってもいないというのに毛先が凍っていく。吐きだす息が白く染まる。これを顔色一つ変えずにできてしまう男が目の前にいるのだと思うと笑いが止まらなかった。こいつを仕留められるこのチャンスを与えた神とやらに感謝の祈りをささげてもいいくらいだ。
    自身に強化をかける。魔力を練る。ブラッドリーが何をしているのかわからないわけではないだろうにミスラは少しも動こうとはしなかった。それだけ自信があるということなのだろうが、そうでなくては愛銃を向ける意味がない。自然と口角が持ち上がった。まずは一発、単純に魔力を幾重にも練り上げただけのものを。眉間を狙えば、弾をはじく障壁の向こうで微かにミスラの顔が歪んだ。
    「《アルシム》」
    先程砕け散った岩の破片がゆらゆらと持ち上がり、ミスラが無造作に指を振っただけで鋭い切っ先が全てブラッドリーを狙う。息つく間もなく降り注いだものの半分は障壁で防ぎ、半分を撃ち落とす。ばらばらと地面に落ちていった岩を鼻で笑い飛ばしてやった。
    「随分お優しいこって」
    「……殺します」
    緑の瞳が剣呑に細くなり、巨大な髑髏がミスラの背後で口を開けた。強い魔力が練り上げられる間に多少に細工を施した銃弾を撃ち込む。障壁に阻まれるのは想定済みだ。だからこそ価値がある。
    いくらミスラでも無秩序にあれだけの魔力を構築するのは難しいだろう。奴の性質からして、そういう部分を感覚的なものだけで補っているのは想像に難くない。だからこそ、そこを少しばかり狂わせてやるだけで隙が生まれるというもの。さすがにここまで気が立っているような場面でなくてはすぐに気づかれて終わりだが、今日は随分やりやすい。
    髑髏から魔力が放たれた瞬間に箒を取り出して上空に逃げる。ブラッドリーの姿を追って顔を上げたミスラの障壁がほんの少し揺らいでいるのが見えた。あれを狙えば弾は通る。重苦しい魔力を避けるよりも優先すべきはこちらだ。目と腕さえ無事ならそれでいい。腹をえぐり頭を揺らす攻撃に口角を上げて引き金を引いた。銃声が響き、ミスラの頬に赤い線が付く。じわりと血が滲んだ顔に更に撃ち込んだ。肩を貫かれてミスラの身体がふらついた。
    「さっきより男前になったんじゃねえか?」
    「あなた、本当に死にたいんですね」
    「っはは! そんなに口説くなよ色男。ときめいちまうだろ」
    箒を消して地面に降り立った。狙撃なら上から狙うべきだが、動きが少々制限されるのも事実だ。じっと考え込むように動かなくなったミスラが何をしても対応できるようにしておくべきだろう。考えが読みにくいのは本当に厄介だ。
    小さくため息が聞こえた。途端に殺気が霧散する。驚く間もなくミスラの手元から魔道具が消え、ブラッドリーに歩み寄ってきた男が顎を掴んだ。喧嘩の為と言うより、誰かを口説くような仕草で。
    「もう少し、素直になった方がいいんじゃないですか」
    「あ? 何、」
    続きは言葉にならなかった。塞がれていた唇が解放され、やけに得意げな男の顔が目に入る。キスしたいならそう言えと告げられたところで、何も心当たりがないのだから呆然とする事しかできなかった。
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    すすき

    DOODLE【ミスブラ+オエ/魔法舎】賢者視点
    ミスブラ職人オーエンの話
    ……にしたかったんだけど、これであってるか分かんなくなってきたやつ。
    ここまで長くなるとは思わなかった
    窓の外には厄災が輝いている。美しい夜空をぼんやり眺め、はっと我に返って賢者は慌てて足を踏み出した。もうずいぶん遅い時間だ。
    賢者の書を書き進めることに集中していたせいか、それとも昼間の依頼での魔法使いたちの活躍を思い出していたせいか。すっかり夜も更けた今になっても眠気はやってきていなかった。まだまだ起きていられそうだが、これ以上は明日に差し支えそうだ。キッチンでホットミルクでも飲んで寝てしまおうと部屋を抜け出したところだった。
    しんと静まり返った廊下に賢者の足音だけが響く。同じフロアの魔法使いたちは早寝が得意な方だ。起こさないように足音を殺して階段を下りた。キッチンを目指す。
    「……あれ?」
    こんな時間までキッチンに明かりがともっているのは珍しいことじゃないが、その明かりが届かない廊下の片隅に立つ後ろ姿はあまり見たことがなかった。いつもなら、キッチンで甘いものを強請っているか、探しているかしているのに。もしかしたら厄災の傷だろうかとそっと背後に歩み寄った。
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