いずれ破滅に向かうとしても「レティっちさぁ、そういうのよくないと思うよ」
地獄の第六席、赤き竜六柱の三柱。上司であるアガリアレプトがフルーレティにそんな声をかけたのは、人気のないアガリアレプトの私室でのことだった。
わざわざ自身を呼び出した要件は、フルーレティには当然に予測出来ていた。このお人好しで情に厚くて、能力故か周囲への気配りを自身に病的に課している上司が、フルーレティの”蛮行“をこれ以上見逃すはずは無いので。
『そういうの』が何を指しているのかといえば、フルーレティとネビロスがつい最近から肉体関係を持ち始めたことだろう。
フルーレティが持ちかけた。というか、そう仕向けたことから始まった関係だった。
取り引きと脅し、上官としての立場さえ利用して、ネビロスに無理矢理に頷かせた関係だ。ネビロスは自分のことを、嫌っているので。
1920