今日は誕生日 視界が白に塗られていた。
次の瞬間、それは弾けるように青色へと変わった。
考えるより早く左足がスライドする。開いた両足の裏で地を踏みしめ、視線だけ下げてみれば、地面に沿ってあらゆる向きへ飛び出した薄い灰色たちが身体の下に広がっていた。
動きを等しくしながら重なり合っているそれらの中心、踏んづけた地に、たまっていたのは濃くて暗い墨の色。
そして、ひとつ瞬けば、今度は世界が虹色に埋められていた。
何もなかったと思う。
サカズキは歩いていた。今日は朝から通常業務を妨害されなかった。真顔でそんなことを考えながら、書類を手に、もくもくと足を進めていた。
部屋の前についた。そして部屋のドアを開けた。
ここまでがサカズキのしたことである。
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