36歳霙木先輩。現世帰還if。
なんだかんだあって現時間軸に36の肉体で戻れた話。
もうどれほど目にしていなかったのか…久しぶりの陽の光に目を眇める。
柔らかながら暖かな光。柔らかな光でも闇に慣れた目には些か強く感じられて手で軽く視界を覆う。
……あぁ、帰ってきたんだな…
「ーーー眩しいな……っておい比良坂!?」
懐かしい陽の光に目を細めていたら傍らの男にいきなり頭を抱え込むよう抱き寄せられた。
かの地では頭ひとつ分以上違った背丈は今は僅かに違うくらいだが、その肩に顔を押し付けられる。
「日除けですよ」
「そうか、日除けか」
眩しさに潤む目を押しあてていると、晴れている筈なのに耳元に雨粒が落ちてきて少し笑った。
強く抱き締められる腕の中軽く身動ぐ。
「…暖かいな」
「…お帰りなさい、先輩」
完全なる二人の世界を醸し出しているが、今はまだ双子や姪御さん、同じく現世に帰還した皆の面前である。
本編浅草編も終盤にさしかかっているところ。
色々な業や思いも有れど、現世軸ではその命一度落としているとしても、二人(と皆で)生還して幸せになって欲しいとの儚い願いを込めて。

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