匂い「あーー、終わったーー」
「今日も疲れたでやんすねぇ…」
夕暮れ時、雷門中サッカー部の練習が終わり、部員たちは部室に戻ってきていた。
全員みっちり練習していたため、汗だくで砂埃にまみれていた。
「皆お疲れ様!今日も汚れたねぇ💦」
サッカー部マネージャー、藤宮 千咲(ふじみや ちさき)は、疲れ果てた部員たちのためにタオルとドリンクを手渡していた。
「!ありがとうございます、マネージャー」
「いえいえ、皆はたくさん練習してたんだもん、このくらい当然…」
すると、途中まで普通に喋って動いていた千咲がピタッと止まった。
「?マネージャー、どうしたんすか?」
傍にいた壁山が不思議そうに千咲を見る。
「……竜吾……」
「あ?」
千咲はじとっとした目で、目の前にいる染岡竜吾を見つめていた。
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