その窓、覗くべからず「『狐の窓』? へぇ、そんなものがあるのか」
「うん、簡単に説明すると特定の手順で指を組んでからその間から覗くと相手の正体を見破る事ができるってモノなんだけどね」
うんざりするほど暑い夏の日、午前の授業が終わった合間の昼休みの屋上。
いつものように屋上で相棒――神咲渚と食べている。
まぁ、正確に表現するなら今は『いい子』の方であるナギとだが。
こいつは普段、優等生である『いい子』を演じている。
主に学校やテレビの外ではそうしていて、その時は『ナギ』と名乗っている。
そして今俺は神咲(正確にはナギ)の作った弁当を食べている。ちなみに今回は竜田揚げ。
こいつの作る料理はいつも美味しいから、弁当を持って来た日は楽しみにしている。うちの女子達はこいつを見習ってほしい、本当に、マジで、心の底から。
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