復讐類司A組の教室内は昼休みに入っていた。1人で気ままにランチを楽しもうと、弁当を持って廊下に出る。階段を登ろうとしたその時、司の耳に聞きなれた声が届く。
「司くん」
B組からこちらまでやってきたのだろう、ふらっと現れた類が司に向かってくる。遠くに見えた類はゆるい猫背のせいかすこし小さく見えるが、すぐ近くまでくると流石に大きい。もうすこしきちんと立てばもっと見栄えも良くなるのにと司は常に思っていた。
類はショーキャストの癖に普段の外見にはひどく無頓着だ。舞台の上にいるみたいに胸を張り、背筋を伸ばせば、類の魅力はもっと校内中に知れ渡るだろう。コソコソと噂され遠ざけられるには惜しい人材だ。
しかしこの無頓着さやある種の複雑性も類の個性の一つだと思い直す。そうしてそんなことを思う度に、学校中の皆が類を一般人とは違う、常軌を逸した変人だと一線を引いてしまう今の状況もつられて思い出してしまうのだ。
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