贅沢な痛み「スローセックスってセラピー効果があんだって」
すろーせっくす、と聞き返した声は三井の口の中に消えた。ぱくっと食べられたからだ。
殊更ゆっくりと口内をたゆたう舌を好きにさせていたら、最初はベッドの上で向かい合って座っていたのにいつの間にか脚の上にどっかりと乗られていた。口の中は好きなように荒らされ続けている。
激しくはない。尖らせた舌先で上顎を、歯裏を、頬の内側をそおっとなぞる。
むずむずとくすぐったくて、両手で耳を引っ張って顔を離した。指に触れた耳たぶはふくふくとしていてあたたかい。
「なんだよ、やなのかよぉ」
かわいい態度取られたら、こっちはスローじゃいられなくなるけど。
やじゃねえけど、って前に突き出た唇にお返しのキスをしたら、うれしそうに笑った。機嫌がいい。いつにも増してかわいいし。でもどこかカラ元気だ。
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