ガツン、と骨を打つ強烈で鈍い音が鳴る。倒れる体に巻き込まれた椅子が、遅れて派手な音を上げて床に叩きつけられた。
ものの一瞬で、クラス全員の視線が引きつけられる。
水を打ったような冷たい静けさの中で、同級生たちは音の出所を確かめる。椅子と一緒になって床へ倒れたシンタと――すぐ目の前に立つハヤテの姿を、ここにいる全ての目が認めた。
「あ……」
しまった。ひやっとする焦りが一気に腹の底から噴き出してきて、ハヤテは何も言えなくなってしまう。崖の縁に立たされるような、一番大嫌いな立場。
シンタはしばらく呻いてそこから動かない。ひそひそと様子を窺う周りの声が教室中に広がり始めた頃、ようやくゆっくりと起き上がってきた。
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