死は生きている お母さんが死んでしまった。
私が誰かを思いやろうとしたとき、上手くいくのはお母さんだけだった。思いやるといっても、私は頭が悪いので大抵は家事の手伝いやプレゼントをするくらいだったけど。お母さんのために何かできたときだけ、私は自分を肯定することができた。
いま私の周囲には職場の人しかいない。
彼らの役に立つために何をすればいいかは分かる。誰かの分まで働けばいいのだ。でも自分の仕事も碌にできないのだから、そんなことをすれば却って手間を増やしてしまう。今までだって張り切れば張り切るほど空回りしてきた。
失敗を繰り返す私はどちらかといえば役に立つどころか加害者だ。
誰かと付き合ったことがないし、今となっては友人もいない。繋がりは緩やかに、根こそぎ絶たれてしまった。
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