安置「オレんちから片道二時間すンだけど。デンジ君の高校」
吉田の家から最寄り駅までがだいたい十五分、高校の最寄り駅から高校までも十五分、そして家の最寄り駅から高校の最寄り駅までの間が、一時間半。到底通えないというレベルではない、ギリギリ通えてしまう距離だから厄介だった。週五回、往復四時間もかけて移動なんてしたくない、しかし引っ越す程でもない。つまり公安からも引越しの金が降りてこなかったのだ。自己負担で家を探そうとするも何となく腰が重く、ずるずると始業式の日になっても引っ越さず、新学期の忙しさと移動のかったるさに参った金曜日の夜、やっと辿り着いた自宅のベッドで愚痴を零す。ちなみに昨日は帰るのがダルすぎてビジホ泊まりもした。部活動の勧誘会やら説明会やらが長引いた上、監視や友人との付き合いもあって学校を出るのが遅くなったから。そして引越しを渋ったとはいえ、高校生にしては金がある方だから。
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