Swim with me. from XX 概ね百五メートル×六十八メートルの長方形の中でのみ、俺達は物心ついた時から真っ当に息をつけるような気がしていた。
Swim with me.from XX
数メートル先に立つ男の体から柔く立ち上る陽炎のような熱気を見ながら、自分が吐き出した二酸化炭素が視界を覆うのを首を振って避ける。
そのまま動かした視線の先には青と白の二色で構成されたスパイクがあり、つま先で止められたボールの滑らかな表面はナイター用ライトに照らし出され、砂ぼこりを纏い鈍い輝きを放っていた。
1on1をもう何度繰り返したのか、回数をカウントするのも途中から忘れている。
そんな事に脳のリソースを割くよりももっと大切な事が多すぎたからだ。
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