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    スペレグリに膝枕してほしすぎてSSを打ちました。

    タイトルなし 人肌の温度に温かいタオルを渡されたレッドはやけに感慨深い気持ちに襲われている。泥だらけの己の身体を拭いながら。
     紆余曲折を経て始めたグリーンとの同棲生活ではあったが、お互いのことなど知り尽くしていると豪語していた日々を懐かしく思うほど小さな発見や驚きに溢れていた。このタオルとてそうで、グリーンは泥だらけで帰ってきたり、髪に大量の小枝を絡ませていたとしても小言を出してくることはなかった。ただ端的に「待て、それ以上進むな、絶対にだ」と告げられて、そうして手渡されたタオルに静かに感じ入っている。何をしてきたらそんなことになるんだとか、きっとそういうのは彼の気にするところではないのだ。靴下を脱いで素足になる。
     風呂から出ると、グリーンはソファに腰掛けてキュウコンの尻尾を一本いっぽん丁寧に手入れしている。細められた赤い瞳はその心地よさを伝えていた。レッドがさっぱりした、と一言だけ呟いて隣に座ると手を動かしながら頷いた。ラジオが流れているためテレビはつけない。今日の出来事だとか明日の天気だとかをアナウンサーが流暢に続けてゆく。そういえば彼のいる空間にパーソナリティがいるようなラジオ番組が流れることはそう多くないなと思った。
     すう、すうとブラシが豊かな毛を梳いてゆく音、粛々とニュースを伝えるラジオ、その繰り返しはあまりにも穏やかでレッドは大きく欠伸をした。ぐ、と一回腕を伸ばし、そのまま横に身体を倒してグリーンの太ももの上に頭を沈ませる。おい、と咎められはしたものの「少しだけ」なんて甘えてみせれば溜息がひとつ降ってくるだけで、それ以上何か言われることはなかった。さらに収まりの良い位置を探して頭を少しずらすと、ふと睫毛が光に透けていることに気付く。それに見惚れたことは内緒だ。
     は、とレッドが次に意識を持ったのはキュウコンはすでにポケモンボールの中に戻されていて、そうしてラジオ番組は珍しくコメディアンが喋っている時だった。やってしまった。瞬時に己のしたことを理解して冷や汗が出る。なんてことはない、うっかりあのまま寝てしまったのだ。それも五分だとかではない。目覚めたことに気付いたグリーンはさすがに少し思うところがあるようで、じっとレッドの目を見つめてこう言った。
    「言ったよな? 少しって」
    「返す言葉もない……」
     そうして身体を起こした瞬間、グリーンが小さく呻いた。さすがに辛かっただろうかと慌てて振り返ると、本気で嫌そうな顔をしていて焦る。
    「ど、どうした、足が痺れちゃったか!? そうだよな、ごめん!」
    「いや、そうじゃない、そうじゃないんだが」
     ぐい、と手を取られて太ももの上に導かれる。えっまさかこれこういう展開?とときめいたのも束の間、手のひらにじっとりと濡れた感触があって自身もまた「うわっ」と声を漏らしてしまった。
    「おまえ寝汗凄いな……」
     勘弁してくれ、と言いたげな瞳に、レッドは思わずへへ……と笑って誤魔化した。
     そんなやり取りのあった後、とある日、やはりレッドが風呂から出るとグリーンはハッサムの手を綺麗にしている。タオルで拭いたり、時にはブラシを用いたり。過日尋ねたが、曰く、オレが怠ったことでこいつの実力が発揮されないなどということは許されない。月並みな言葉ではあったが真実のため、おまえらしいなと心の底から思ったものだった。
     さて、今日も今日とてなんて穏やかな日、レッドは大きく欠伸をして背筋を伸ばす。身体を倒しかけたところではたと先日のことが頭を過ぎり、軌道修正、ソファの背もたれに完全に身体を預ける形で後ろにのけぞる。
     その様子をなんとはなしに見ていたグリーンはハッサムに一声かけた。少し待っていてくれと。そうして突如として席を立つものだから、レッドは彼の幼馴染であるハッサムと目を合わせてぱちぱちと瞬きをした。綺麗になった? そう聞くと手を二、三度開かせて表情は動かない。どうやらもう少しらしい。 
     ややあって戻ってくるとその手にはレッドが洗顔後に使うフェイスタオルが握られている。そうしてどかりと座ると自身の膝の上に広げるものだから、ますます行動の意図が読めずに首を傾げてしまう。はてなマークを頭上に大量に並べるレッドに、ふん、と腕を組んだ。
    「この前は酷い目に遭ったからな。こいつだったらどうなろうと構わん」
    オレのタオル! レッドは一瞬呆けたものの、ようやく彼の言わんとしていることを理解して顔を赤らめた。こ、これはつまり……。
    「その……、良いってこと?」
    「そうだ。……おい、変な言い方をするな」
     確かにこれではまるで性交渉の導入だ。首の裏をがしがしと掻いて、じゃあ、失礼して……などと神妙なことを言いながら頭を埋める。積極的にしてもらうとなるとまた話は違ってくるよな……などと一人で胸を高鳴らせていたものの、ふと当の本人を見やると流石に切り替えが早い、既にハッサムとの時間に没頭している。その光景を暫しの間焼き付けて、レッドはゆっくりと目を閉じた。
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