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    今朝方見た夢の話
    け←あき

    #K暁
    ##K暁

    僕の恋心は結晶になった。最初は真っ赤で綺麗なハートだったのに、見る間に赤黒くどろどろ表面が溶けた汚い塊になった。
    やっぱりこんなものをKKに抱いてはいけなかった。
    僕はほっとしてそれをKKがくれた妖怪のイラストの紙に包んでKKが出張のお土産に買ってくれた小さなお菓子の缶に入れて秘密の場所に埋めた。
    「あーーーすっきりした」
    大学受験が終わった時のような晴れ晴れとした気分だ。空も飛べそうなほど身体が軽い。
    余計なものがなくなった僕は何もかも上手く行くようになった。卒論にも集中できるし、友だちには明るくなったと言われたし、祓い屋の仕事もKKの言動に一喜一憂することなくこなせるようになった。思い悩む時間もなくなって余裕ができた。
    「なんかお兄ちゃんらしくないよ」
    麻里に言われ、僕は唐揚げの咀嚼を一度止めると再び噛んで飲み込んだ。
    「そうか?むしろ前のオレに戻ったと思うけどな」
    KKのことを忘れたわけじゃないし、ダメなところは数あれどいいところはもっとあって、そこをサポートしつつ尊敬もしている。良い相棒で師弟に戻れたんだ。良いことでしかない。
    「そうかもしれないけど、でも……」
    麻里は唐揚げに箸を出さず、こちらをちらちらと伺う。
    「……もしかしてオレがKKのことを好きだったって気づいてた?」
    予想通り麻里は驚いた表情をしたので僕はご飯を口に入れるのを止めて笑顔を見せた。
    「そっか、心配かけてごめんな。でも望みのない恋愛は止めたから」
    「望みのないって……」
    「そうだろ?男同士で、二十も年上で、妻子持ちなんだから」
    KKが僕を恋愛対象にする要素はどこにもない。わかっていたのに好きになってしまったから、自分で捨てた。
    「今日のオレの方が普通にKKとコミュニケーション取れてただろ。これからは何の問題もないから」
    粉をまぶして揚げただけの唐揚げと玄米入り白米を頬張る。美味しい。久しぶりに純粋に食べ物が美味しい気がする。麻里はそれ何も言わずマカロニサラダを食べる。少しだけ胸に穴が空いた感覚がするのは失恋によくあることだ。時間が解決してくれるだろう。
    僕の汚れた恋心は今も地中に眠っている。
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    na2me84

    DOODLE #毎月25日はK暁デー
    参加させていただきました。お題は『匂い』
    厭世的で嫌煙家の暁人くんのお話。
    sensory adaptation 雨の夜が明け家族とも一夜の相棒とも別れて、僕は日常に戻ってきた。妹を取り戻すことは出来なかったから、今までと全く同じという訳にはいかないだろうけれど、とにかく僕は一人生き残ったわけだ。それに意味があるかはまだ分からない。それでも、とりあえず僕がやらなければいけない事がまだ残っている。向こうで両親と共に旅立つのを見送った妹の現世での抜け殻に病院で対面し、身体も両親の元へと送り出した。その日は青空にふわりと薄い雲が浮かぶ、良く晴れた日だった。この世のしがらみを全て捨てて軽くなった妹は、きっと両親と共に穏やかに笑っているだろう。そうであって欲しい。

     追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。
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