星に願いを 世の中不思議な事もあるもんだ。
平々凡々に生きていた。人より優れたものを持って生まれた自覚はあるが、それも大成功とまではいかない程度。並よりはいい大学に入って、優良企業に入社したくらいのものだ。平凡、と言ってしまえば反感を買うが、それでも人並み外れたものだとも言い難い。
この現代日本において自分を高く言うリスクよりは、謙遜した言い方の方が好まれるし生きやすい。褒められても真に受けず、できるだけ静かに暮らしてきた。インド人の血を引く容姿は、どうしても人の目を集めてしまうが、概ね好意的なものばかりだ。日本生まれ日本育ちも功を奏して、特別外人扱いされる事もなく過ごせている。
あの頃に比べれば、凡庸に生きてきたはず、だった。
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