無力化したねじれの回収をLCAに任せ、疲労した体を引きずるようにして依頼人へ報告に向かう。依頼人は企業ではない一般の人間で、最初に顔を合わせた時と同じ不安そうな表情を貼り付けたまま、自宅で待っていた。私たちが顔を見せると、彼は多少なり驚きの表情を浮かべる。もしかすると私たちが仕事を放り出して帰ってしまったとでも思っていたのかもしれない。
依頼人の家はごく一般的な住宅に見えたし、飛びぬけて裕福そうな雰囲気もなかった。おそらく出せる報酬も多くはない。協会や事務所でなく、まだ知名度の低いリンバスカンパニーに依頼してきたくらいなのだから、藁にもすがる思いだったのだろう。
〈まあ、そういう訳で……原因のねじれも回収できたし、人間が消失するようなことはもう起こらないはずだ。……と、伝えてくれるか?〉
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