思い思われ、その先へ 今思えばあの人なりの不器用な愛情表現だったのではないかと譲介は思いつつある。
N県T村の神代診療所に来て、始めはK先生の神技の様な技術と知識に気圧されついていくのに精一杯だった。村人たちの交流も苦手であった。
その後は、K先生のオペ助手となり村人たちの交流混じりの往診にも誠実にこなしていく。
あの人が教えてくれなっかた事が、村では身をもって知る。この環境こそが医師として欠かせてはならないものがあった。
それから数年前、突如としてアメリカのクエイド財団行きが決まり、大学は当然ながらメディカルスクールへと確実に医師として成長している。
「放っちゃおけねぇ」と思ったガキは初めてだったなと、TETSUは過去を時々思い出す。
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