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    kurui_usagi39

    @kurui_usagi39

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    kurui_usagi39

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    3月9日はサン穹の日!!!!!!!!ということでお付き合いし始めた💣💫です。もだもだしているようなしてないような。

    はじめての恋人穹は恋愛というものをまだよく理解しきれていない。
    全くの無知という訳ではなく、恋愛関係にある者、恋人同士というものが何をするかくらいは知っている。
    思いを伝えあって、共に寄り添い歩いて、手を繋いで、唇を重ねて、そして…
    生まれて初めての恋人が出来てから、穹は三月なのかの読んでいた本や人に勧められた映画で予習はしたのだが、どれをどうすればいいのか、どんな切っ掛けタイミングで手を繋いだらいいんだろう等と何処かで聴いた歌のような悩みを抱えていた。
    これを人に話すと、まずまず『お前の恋人に任せておけばいいんじゃないか』と返される。
    それは穹の恋人がそういった情事に通じていそうな…悪く言えば遊び慣れていそうな男、サンポ・コースキだからだろう。
    最初は穹もそう思っていたのだ。
    『サンポに身を任せておけばいい』それは決して投げやりな結論ではない。
    穹にどれだけ疑われてもめげることなく『愛しています』と真摯に伝え続け、恋と愛を教えてくれた男への慕情と、彼は決して穹に酷いことをしないだろうという信頼と…彼になら何をされてもいい、という思いからの判断。
    サンポならきっと、恋愛初心者な自分をしっかりリードしてくれる。
    …そう考えた穹がサンポからのアクションを待つようになって、早数ヶ月が経とうとしていた。



    「なぁ、もしかしてあんた俺とえっちな事とか全くしたくないの?」

    隣に座りティーカップを傾けていたサンポが『ゴフッ』と噎せてテーブルを汚す。
    ここはベロブルグの一角に存在する、サンポの隠れ家の一つ。
    今日はお家デートでも、と招かれたそこでソファーに隣合い二人きりのティータイムを過ごしていたのだが、あまりに空気が穏やかすぎたせいで穹はつい思ったことを口にしてしまった。
    嫌な訳ではない。時折見つめあった時サンポの瞳からは深い愛情を感じるし、肩を寄せ合ったり髪を撫でられたりと触れ合っているし、キスもしている。
    けれど、それだけ。
    恋人同士になって数ヶ月、サンポはそれ以上の事をしないのだ。
    キスでさえ、触れるだけのとても優しいもの。
    それも気持ちいいし好きなのだけれども、もっと深く交わるようなキスもあるのだという知識はある。
    そして、それ以上のふれあいの知識も。

    「けほ…っ!な、なんですそんなやぶからぼうに!そういう雰囲気でしたか今!?」

    「だって…こんなにくっついてるのに、あんた何にもしてこないから」

    カップをテーブルへ置きつつ目に見えて狼狽えているサンポの肩へぐいぐいと頭を擦り付けながら、何もしてこない大好きで憎らしい左腕を手に取る。
    ゴミ箱から見つけた本に書いてあった『触ってこないなら触らせればいい』というアドバイス。
    その通りに、サンポの手を自分の太ももへと導く。
    ぎくりと震えて引こうとした手を力ずくで太ももに押しとどめると、数十秒の攻防の後サンポは諦めたように力を抜き、ゆっくりと穹の太ももを撫で始めた。

    「ン…こんな風に触られるの、初めて…」

    「ッスー……」

    無理矢理させているとはいえなんだかようやく大人のふれあいが出来た気がして嬉しくなる穹の横で、サンポは深く息を吸い込みつつ穹に拘束されていない右手で自身の目元を覆い、天井を仰ぐ。
    『落ち着け』『冷静に』『がっつくな』とぼそぼそ聴こえてくる呟きに首を傾げていると、しばらくしてようやく目元から手をどけたサンポが視線を穹へと戻した。
    頬、そして耳。どちらも少し、赤い。

    「…僕の態度は、貴方を不安にさせましたか」

    「愛されてるのは分かってるけど、ソッチ方面?の魅力が俺には無いのかなって、そういう不安は感じてた」

    「魅力なんてありすぎて困ってるくらいだ…なんですかこの太ももは、触り心地が良さそうだなとは常々思っていましたがこんなのずっと触っていたくなっちゃいますよ!」

    「二人きりの時ならいつでも触ってくれてよかったのに…というかそこまでいうならなんでキス以上のことはしてくれなかったんだ?」

    むにむにと動き続けていた手が止まり、サンポの言葉が詰まる。
    あっちこっちと視線を彷徨わせ何も言わない男をじいっと見つめていると、ついに観念したのか大きなため息と共に彼の本音が漏れ出た。

    「はじめて、だったので」

    「…何が?」

    「いえですからその、人を本気で好きになったのが…初めてで…今までの遊び相手ならともかく本気で好いた方にどんな風に触れたらいいのか分からなくて、しかも貴方はまだ何も知らない子供で…がっついて怖がらせて、嫌われたらという不安がですね…!」

    それが嘘偽りの無い言葉であるのは、どんどん赤くなっていくサンポの顔が物語っている。
    なんてことはない、この男もまた恋愛というものをまだよく理解しきれていなかったのだ。
    『本気で好いた訳では無い遊び相手はいた』という中々最低な告白もしれっと混ざっていたものの、まぁそれは予想の範疇であるし、この男の事だからそういった関係は穹と結ばれた際にきれいさっぱり清算しているだろうと信用して流す。
    今重要なのは、サンポも穹に触れたいと思ってくれていたということ。
    相互理解が足りなかった────否。
    自分の思いを、考えを、もっと早くきちんと伝えればよかった。

    「…ちょっと恥ずかしいから、1度しか言わないけど」

    『俺、あんたとえっちなこと、したいよ』
    サンポの耳にそっと顔を寄せ、囁く。
    それからすぐに顔を離すと、ぽかんとした表情のサンポに見つめられた。
    この男の意表をつけたようだと気分よく見つめ返していたが、黙ったままあまりにじいっと見つめてくるものだから、穹の頬も段々と熱を持ち始める。

    「…な、なんか言うかなんかしろよ」

    そう言ってふいと顔を背けた瞬間、ぐいと身体を押し倒された。
    視界に映るのは天井と、見た事のない表情のサンポだけ。
    そうして、二人の"はじめて"が始まった。
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