ささいなしあわせささいなしあわせ
きれいな顔をしてるけど、無口・無表情・無愛想の3拍子揃ってて感情の起伏が分かりづらい流川。
それでも所謂お付き合いをすることになってこいつの僅かな表情の違いがわかるようになってきた。
なんだか、今日はすごいほわほわしているように見える。
穏やかで機嫌のいいコイツを見てると、俺もなんだか機嫌が良くなる。
「なあ、流川」
「うす、なんすか?」
「なんか今日、すげー機嫌よくねえ?良いことでもあったか?」
そう聞いてみれば、じっとこっちを見ながら数秒無言。
「‥特別、良いことってわけじゃねーすけど‥」
ぽんぽんと手元のボールに視線を移して、ゆっくりと喋る流川
流川は、言語化するのに少し時間がかかるだけで、無口なわけじゃない。
だから、コイツの言葉が纏まるまで待ってやる。
「なんか、大好きなセンパイと、大好きなバスケが出来てて、それが日常になったってだけ、なんすけど」
「うん」
「そういう、ささいな事が、すげー幸せだなって思えるのいいな」って、そう思っただけっす。
ぼそぼそと、低くて、でも少しだけ甘さを含んだ声でそう打ち明けられて。
コイツのちょくちょく放たれる、ストレートな愛情に、俺は頬が紅くなっていくのを抑えられない。