無題そう言ってロジェール達は少し前を歩く。
二人の微笑んでいる姿を見て、私は少しだけ歩く速度を落としやや離れて二人を見守る。
心が苦しくなる訳でもない。
かと言って気にならない訳でもない。
ただ幸せそうに微笑んでいる二人を見て、自然と一歩引いて見守ってしまう。
「…良いのか?」
不意に小さな声でDが言う。
彼なりの配慮なのだろう
こちらを見るでもなく、ただ前にいる二人を見ながら話しかけてきた。
「私そんなに顔に出てた?」
「いや、出てない。出てたら俺よりロジェールが先に気が付く。あいつは敏いからな」
(その敏い人より前に気が付くDも大概なんだけど)
そう思うが口には出さない。
「…良いとか悪いとかじゃなくて何ていうか幸せそうな二人を見ると、自然と見守ってしまうんだよ。癖だね」
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