ミッドナイト・プリンセス ぱちりと目が覚める。なんだか体が動かしづらい。私は死んだはずではなかったのだろうか? そっと腕を上げてみると、クリームパンのようにぷにぷにとした腕と小さな手が見えた。まるで赤ん坊のような手だ。ああ、やはり私は死んでしまっていたのだ。ほっとした反面、また生きなければならないのかという少しの不安。不安になってほぎゃあ、ほぎゃあと泣き声を上げた。赤ん坊だからか感情の制御が効かない。そういえば母親はどこにいるのだろうか。見当たらない不安も襲う。もしかして赤ん坊のまま死んでしまうのだろうか。
ドタドタと急いで駆け寄ってくる気配がする。優しく頬に手が触れる感覚とともに、少し苛立った声がかけられた。
「おい、うるさいぞ。さっさと泣きやめ。あのクズがあれるだろ」
12119