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    グルーミングすると落ち着くタイプの人修羅ちゃんとライドウたち。続きは修羅ライになるよ。

    #修羅ライ
    sceneOfCarnage

    毛繕いざり、ざり、と獣が舌で被毛を繕う音がする。その獣は人の形をしている。朽ちた寝具に転がって、腕の中に黒猫を囲い、ひたすら毛を繕う。全身に淡く光る刺青を走らせ、項に角を生やした少年の形の、獣。

    人に非ず、悪魔に非ず、故に人修羅。
    それは同時に人でも悪魔でもあるということなのだろうとライドウは思う。

    カグツチの輝きが強まる時期などは、人修羅の性質は悪魔に寄る。興奮して落ち着きがなくなり、攻撃的で嗜虐的になる。それでも他の悪魔のように会話不能にまで陥らないのは人の部分のせいか。

    いつだったか、どうしても落ち着かない時にそうするとマシなのだと、人修羅はライドウたちに話したことがある。猫のように犬のように、毛皮持つ仲魔を舌で舐り軽く歯を立てる。
    本人にさえ、一体どうしてそうなのかは分かっていない。

    一度、件の黒猫が拒否した時になどはあろうことか「じゃあそいつをしゃぶるからな」とライドウを指差して脅しつけたことは記憶に新しい。カグツチにあてられた金色の瞳はギラギラと輝き、冗談じみた言葉とは裏腹に、人修羅の本気具合を示している。
    そんな、とんでもなく間抜けな上に、ひどくくだらない理由でひと悶着起こすのも馬鹿馬鹿しいと、最終的には賢い黒猫は大人しく腕に収まることにした。幸いか、人修羅はネコ科の獣のようにわざわざ舌を変質させていて、そうされる心地は悪くないのだ。

    「ー、足りない。……イヌガミ」

    黒猫の全身をくまなく繕い終えてしまうと、人修羅はそう呟く。呼び声に答えて何もない空間からスルリと胴の長い犬が現れ、待ってましたとばかり主人に擦り寄った。同時に黒猫は人修羅の腕から逃れ、身震いしながら口を開く。

    「初めからそうすれば良いではないか」

    「ちょうど良いのがいないんだよ」

    一匹では足りず、かと言って他の悪魔、ヌエやノズチでは大きすぎるのだという。他にもやれアイツは毛が長すぎる、人型は嫌だと文句を垂れるのもいつもの流れだった。
    それを聞いてライドウは、ではなぜ人型…というよりれっきとした人間である自分には白羽の矢を立てたのか?…という疑問を抱くも、何だか藪蛇になりそうな予感がして黙っている。

    しきりに尾を揺らす白い犬を抱えて、人修羅は再びざりざりやり始める。大抵の場合は彼か、もう一匹を少し齧る程度で気が済むのが常だ。
    人修羅にそうされている間、イヌガミも、かの黒猫も心地良さげに目を細めているものだから、そんなに良いものだろうかと、ライドウの中では回を重ねるごとに好奇心がむくむくと膨れていく。
    さりとて、少しでも興味を示そうものなら問答無用で抱え込まれることは分かっているので、今のところ口を噤んでいる。




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