(泣)フロリアンの寝室で、マティアスはフロリアンとベッドに横たわり眠っていた。ふと、すすり泣く声が聞こえて、マティアスは目を覚ます。
「フロリアン」
どうやらフロリアンが震えて泣いているようだった。その様子は、マティアスの向く先の背中越しでは見えない。
「っ...ぐす...」
「フロリアン」
マティアスは小さく呟く。フロリアンにはどうやら気付かれていないようで、ただ、肩を震わせているだけだった。
何故彼が泣いているのかわからない。彼はいつも笑っていて、時には私に酷いことをし、時には優しくする。いつも自分が優位な立場でいるように思わせる、意外と非道な奴だとばかり思っていた。そんな奴と付き合っている自分も自分なのだが。酷いことを言ってしまえば、あんなに自由でやりたい放題なのに...マティアスはどうすればいいのか分からず、とりあえずフロリアンをぎゅ、と抱きしめた。勿論、起こさないように。そうすると、いつの間にかすすり泣く声は止み、小さな寝息がフロリアンから聞こえるようになった。
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