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    おわり

    @owari33_fin

    基本的にアズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア3️⃣後編-6 『光ある未来へ』

     リビングに戻ると、食事を終えた皆んなが片付けを始めていた。手伝おうとしても、未だ包帯まみれのボクを気遣って、何も手伝わせてもらえなかった。
     子供達を寝かしつけた後も、ボクは久しぶりに会ったフレドとアルマに、アズールのコーヒーメーカーで淹れたコーヒーと共に語り合った。まだ半年程なのに、二人に話したい事が思った以上にあって、横で聞いていたアズールやフロイドに色々と横槍を入れられながら、イヴァーノやお義母様、それにリーチ夫人とも話をした。
     たまにジェイドが余計なことを言って、リーチ夫人がそれに対して優しく言い聞かせれば、あのジェイドがそれ以上何も出来ず固まってしまい、ボクはリーチ家のヒエラルキー頂点が彼女である事を思い知らされた。
     日付も変わり数時間たっぷり話し込んで、フレドはアスターと、アルマはサミュエルの部屋で寝る事になった。イヴァーノとお義母様はゲストルームを使い、ジェイドと名残惜しそうなリーチ夫人は沿岸部で一番のホテルへと帰っていった。皆、明日には陽光の国に帰ってしまうようだ。
     そしてボクは、寝室のベッドにアズールとフロイドに挟まれるようにして寝る事になった。
     これには一悶着どころか二悶着あって、アズールがフロイドをリビングのソファーで寝るように言い、お客様をそんな場所に寝かせられないと、ボクがソファーで寝ると言って「怪我人をそんな場所で寝かせられない」と慌てる二人にじゃあどうするんだと言って最後、二人にこうして挟まれている。
    「なになに、このベッドでかすぎじゃね?」
     いつもアズールが寝る場所に寝ろと言われたフロイドは、巨大なベッドにはしゃいで子供のようにスプリングの良さを楽しんでいた。それを見て子供かと言ったアズールは、不満そうにいつもボクが寝ている場所に腰掛ける。
    「レオナさんが、僕たちの結婚祝いに贈ってくれたんですよ」
    「え〜もしかして、トド先輩も金魚ちゃんとアズールのこと知ってんの?」
    「……さぁ、卒業後に籍を入れる相手がいるとは言ったがな」
    「え〜それバレてるやつじゃね?」
     ニンマリ笑うフロイドに、アズールは「どうであろうと、結婚祝いにベッドはないだろ」いい迷惑だと毒づくアズールは、掛けていたメガネを外し、いつもの様にサイドテーブルに置こうとして、こちら側にそれがないことを思い出しピタリと手を止める。
    「アズール、やっぱり僕がいつもどおり端に寝るよ」
     場所を入れ替えようと提案するも、デカい男と並んで寝たせいで、もしボクがベッドから押し出されて落ちでもしたらと頭を悩ませ、結局ボクの今日の位置は、二人の真ん中を指定された。
    「そうそう、金魚ちゃんちっせぇから、端っこなんかで寝たらぜってー落ちるし」
    「キミってそんなに寝相が悪いの?」
     純粋な疑問から聞いてみれば、「そこでそんな事考えるの金魚ちゃんぐらいだから」と腹を抱えて笑い出した。
    「静かにしないと、他の部屋の客人が起きるだろ」
     魔法でふわりと浮かせたメガネを、サイドチェストの上に置いたアズールは、ベッドの中に潜り込んでボクの傷に障らないよう抱きつくように引き寄せた。それをみていたフロイドがボクにくっつくようにベッドの中で距離を詰めるもんだから、アズールが「狭いだろ!」と眉を吊り上げる。
    「え〜オレは狭くねぇよ?」
     フロイドの言葉に、アズールがぐぬぬと奥歯を噛んで最後、何か言葉を飲み込み「もういい、昨日から疲れっぱなしだ、こんな時にお前を相手にするのは面倒くさい」とボクの首筋に顔を埋めて、心底疲れたとため息を付く。
    「オレだって色々あって疲れたし、安心したらクソねみぃわ」
     ボクに体を寄せたフロイドが、体臭が分かるほど体を寄せる。二人の鼓動が皮膚越しに伝わり、こんなにも穏やかな気持ちで、二人とベッドで寝る事になるなんて……ナイトレイブンカレッジのあの時からは想像できない。
     ボクが「不思議だね」と口にすれば、フロイドが「なにが?」と聞いてきた。
    「アスターとサミュエルと出会えて、そして今、こんなに穏やかな気持で今この場にいられるのも、きっと二人が頑張ってくれたおかげだよ」
     ありがとう……そうお礼を言えば、起き上がった二人が左右からボクの手をとった。
    「本当は、あなたにこんなケガを負わせるようなことはしたくなかった。あなたや子供たちを守りたくて動いたはずだったのに、結局はまた、あなた一人を矢面に立たせてしまった」
    「そうそう、ずっと頑張ってたのは、金魚ちゃんだよ……ずっと頑張って、稚魚を育てて……もう、これからはオレらがいるんだ、こんなケガするようなあぶねー事はしないでよ、ね?」
     左右から優しい声で、好きだよ……愛していますと囁かれ、ボクはグッと胸が詰まった。呪いに巻き込んで、ボクの望みのために二人を振り回した、回りの優しい人たちにも随分と嘘をついて……そんな酷いボクを知っていても、二人は変わらずボクを好きだという。
    「ボクは……二人をたくさん傷つけたのに」
     フロイドの事も、アズールの事も、ずっと傷つけ裏切って、そんなボクが本当に好きでいてもらうなんて、あまりにも道徳的に正しいとは思えない。そんなボクが、二人の気持ちを本当に受け取っても良いんだろうか?
    「ばっかだなぁ金魚ちゃん、いーんだよ。オレらが勝手に金魚ちゃんを好きなんだ」
    「そうです、いまさら突き返されても、僕たちだって返品拒否します。なにせ、クーリングオフの期間は五年も前に終わっていますからね」
     もう逃がす気はない観念しろと、好きな相手に向けるにはあまりにも悪い顔でそう言われ、ボクは思わず声を上げて笑ってしまった。
     アスターとサミュエルがいて、幼少期にボクがあたえられなかった親愛を今あたえてくれる人たち。そして、これからボクの隣を一緒に歩いてくれるアズールとフロイドがいる。
     今、ボクは幸せだった。この先の未来も、大丈夫だと安堵できるほど。

     二人の体温に挟まれるこの幸福に浸り、ボクは生まれて初めて未来への光を感じ、安堵の中、目を閉じ眠りについた。




     * * *

     翌日、陽光の国に帰るアーシェングロット夫妻にフレドとアルマを見送りに朝一番空港まで出向いた。半年前のあの時とは真逆だと笑い、フレドもアルマも良い旅行だったと喜び、お義母様は「元気な姿を見れてよかったわ」と笑顔を浮かべ、同時に「もっと男を磨きなさい!」とアズールの背中をバシンと叩いて、「だから、それやめろってば!」とアズールを怒らせていた。
    「リデルさん、この子が何かしでかしたらすぐに連絡してね、私が責任を持ってきっちり怒ってあげるから!」
     胸を張るお母様に、両手で顔を覆って「地獄だ」と唸るアズールの横、フロイドは「アズールのママ、相変わらずすぎんだろ!」と笑っていた。
     イヴァーノは、anathemaとの交渉にこれから忙しくなると、「私も交渉までに今持っている仕事を片付けるよ」と、アズール達とこの先の作戦会議の日取りを手短に話しあっていた。
     心配するボクに「私はこれでもそれなりやり辛い相手と交渉してきた経歴がある、リデルの養父である私を信じて」と頭を撫でられた。

     そうやって彼らが帰って数日、ボクの身の回りは急速に変化した。
     急に引っ越した隣人の代わりに越して来たのは、陽光の国、あのビル周辺でよく見かけては挨拶を交わした人だったり。町中で買い物していれば、商店の軒先に立つ人が、フレドの患者で、ボクに浮ついた口説き文句を口にした相手だったりと、見知った顔が急激に増え、これが全てあの人がボクたちの監視に付けていた人たちなのかと、あまりの数に頭を抱えた。
     しかし、今まで監視役だった彼らが、今は味方となってアスターとサミュエルを守ってくれている。これほど心強いことはない。
    「かあさんどうしたの?」
     ボクを見上げる小さな二人が、幸多からん未来に進むために、ボクも今できる最善を考えなければと、ボクは、なんでもないと二人の小さな手を握り、「さぁ、行こう」と二人とともにその一歩先、光に向かって足を踏み出した。
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