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    おわり

    @owari33_fin

    基本的にアズリド/フロリド同軸🆚
    ここに上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    おわり

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    🌹のnあるし入学一週間の話 エピローグ

     あの決闘から一週間が経った。
     あの直後から開始した、寮内の改革に大忙しのボクは、目まぐるしいほどの忙しさにまさに忙殺されていた。
     まずは、ハリネズミとフラミンゴの飼育小屋の改善、そして彼らの体調管理を急務とし。一番最初に手を付けた。彼らは非常に協力的で、掃除の間も暴れることなく大人しくしてくれた。
     被害の大きかったハリネズミ小屋はほとんど作り直しで、新しい小屋の設計はハリネズミたちの要望を大いに取り込み、半壊する原因となった元寮長とそのお友達に作り直させた。元寮長は手先が器用で、ムスッとしながらもハリネズミたちの要求を全て盛り込んだ小屋を作り、やっと彼らに許しを得たようだ。
     フラミンゴ小屋も、循環式の水場のポンプが壊れていて、魔導工学が得意なイグニハイド寮生に修理してもらうとケイトが言って、トレイの作ったタルトと引き換えに修理してもらっていた。これで水が循環されて病気になるフラミンゴたちも少なくなるだろう。
     彼らが終われば、次は寮だ。寮の外壁の汚れは上級生は箒に乗って魔法で掃除させ、魔法に不慣れな1年生は腰を紐でくくりつけてモップを持たせて磨き上げた。寮内のファブリックも洗濯できるものは全てバスルームで手洗い洗濯したし、窓も廊下も階段も家具も、ゴーストが棲み着く絵画の額縁もきれいに掃除すれば「新しい寮長はずいぶんと年長者を敬う気持ちがある」と褒められてしまった。
     もちろん、学園の授業で出る課題、授業の予習復習、お母様からの毎日の課題もこなさねばならない。それだけじゃない、学園に入ったらやりたいと考えていた部活には馬術部を選んだ。ボクにと先輩から指定された子にまだ認めてもらえていなけれど、認めてもらうために最低3回は顔を出して、世話や体調をつぶさに観察している。
     こんなボクを見て、みんなボクの体調を心配するけれど、これは全てボクが選んでやっていることだ。自分で選んだからには一切の妥協は許されない。それに、ボクをサポートすると言ったトレイの言葉は本当で、ハーツラビュルの副寮長としてボクの仕事を少し肩代わりしてくれている、それだけでも十分助かっているんだ。
     だが、そう言っても早生まれで人より1年遅れているボクの体力が気力で補えなくなった頃。ボクは高熱で授業中に倒れて保健室に運ばれた。
     お見舞いに来てくれたトレイやケイトには「無理させすぎたな」「ムチャし過ぎだよ」と釘を差され、頭に氷嚢を乗せてもらい強制的に休むように言われてしまった。
    「すまない……寮の事も、あともうちょっとなのに」
    「お前はまた……寮のことはお前がほとんど手を入れてくれたから、掃除に関しては8割終わってるんだ。後は俺達に任せてくれ」
    「そうそう! リドルくんはちょっとお休みしよう? こんなに毎日頑張ってくれたんだもん、誰も何も言わないよ」
     そう言ってくれた2人は、予鈴が鳴り、急いで教室に向かってしまった。その背中を見ながらひとりベッドに取り残されると、なんだか不安が募る。昔も、熱が出ているボクを置いて仕事に向かうお母様の後ろ姿を、こうして見送ったことがよくあった。
     お母様のお仕事は、魔法医術士という尊き職だ。それはボクひとりと天秤に掛けるまでもなく、なによりも優先されるべきことだ。だから、ボクはお母様の息子として、小さな子供のようにわがままを言ってお母様を煩わせてはいけない……そう理解しているのに。
     こうやって倒れたことにより、本来こなさなければならないボクのルールを破ってしまう。その不安がこうして気持ちを弱くさせている。お母様が望まれるように1位の更に上に存在しなくてはならない、ハーツラビュルの寮長として誰よりも正しく寮生を導かなければならない。学生として自分で決めたルールを常に守り生活しなければならない。立ち止まることなど、許されていないのに——
     ふと、冷たくなった指先を温めるように、誰かがそっと握ってくれた。お母様の細い指先でも、トレイの厚みのある手でもない。長くて大きな手のひらが不安なボクの手指を握り、じんわりと温め、そして耳には聞いたことのない子守唄が聞こえる。
     潤んだ目でその正体を確かめようとすればそこには、ターコイズブルーの海があった。
     海の中、揺蕩うようなその歌声に、ボクは安堵しゆっくりと目を閉じた。

     目が覚めると、誰もいない保健室、開いた窓から入る風でカーテンが揺れている。そしてベッドの枕元には、一週間前に図書室に置き去りにしたノートが置いてあった。ハリネズミやフラミンゴに関する、ボクのメモの下。誰かの落描きがあった。
     ボクが王冠をつけ、マントを翻すその姿……その横には、ボクよりもずいぶん大きく描かれたターコイズブルーの……
     そしてそこに添えるように「またいっぱ〜い、オレとも遊ぼうね」と書かれてあった。
    「人のノートに落書きなんて、本当にキミはルールを知らないやつだ」
     起き上がれば、ずいぶんと頭がスッキリしていた。
     ベッドから降りて身なりを整え、ひとこと言ってやらないと気がすまないボクは、ノートを持ってこの落書きの犯人を探しに向かったのだ。
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