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    おわり

    @owari33_fin

    基本的にアズリド/フロリド同軸🆚
    上げたお話は、大幅に加筆してpixivに置いてます→pixiv https://www.pixiv.net/users/31202925

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    ミーティア4️⃣前編-11『探索』

     オレとアズールの脅迫交渉のおかげで、思いの外簡単にゲロってくれた見張り二人曰く。アスターとサミュエルは、重要人物や需要検体が保管されてるB区画に連れて行かれたとのことだった。金魚ちゃんに至っては、あのクソムカつくダーハム・グレイソンヘラヤガラが直々に連れて行ったらしく、この見張り二人のランクでは到底入れないA区画に連れて行かれたのでは……なんて、未確定な情報しか得られなかった。
    「まだ言ってねぇ事あったりする?」
     ちょっと刃先を皮膚に押し付けて聞けば、ブンブンと首を振って「聞かれたことにはすべて答えました! だからもう、お願いします殺さないでください!!」なんて……傭兵気取ってたくせに泣き喚いてお願いしてきてダッセェのなんの。その道の人間なら、最初から死ぬぐらいの覚悟決めろやと……コイツらがうちのメンバーだったら、半殺しレベルの蹴りの二発や三発、裏社会でやってけねぇような根性ねぇ奴らは、ぜってぇ親父が自分で焼き入れてた。
     アズールと確かめたのは、この施設のマップだけじゃない。ボディーチェックをすり抜け各々が今隠し持ってる装備や、こいつらから剥ぎ取る予定の武器に関しても確認した。
     オレの手持ちがピアスと靴底に仕込んだ魔法石二つ。これは検査に引っかからないようにちょっとした隠蔽加工がされている。しかも本当に極粒の魔法石なもんで、一、二数発魔法を使ったらブロットが溜まって使えねぇような代物だ。ちなみにそれ以外の武器やなんかは、全て貨物専用機フレイターに乗せられる前に最初に没収された。
     で、アズールの方は、昔からの用意周到さは変わらねぇようで。未だに付き合いのあるホタルイカ先輩やクリオネちゃんから、中距離間を転移できる魔導転移陣を組み込んだカフスボタンと、オレと同じ様に隠蔽加工が施されたネクタイピンに普通の宝石に見せかけた魔法石をひとつ(この大きさだと、それなりの回数魔法を使っても大丈夫そうだ)、ついでに腕時計の方には端末に直接繋げば、プログラミングを書き換える程度の簡易機能も入ってるらしい。アズールからしたら、これは日常の最低限の装備らしいけど、オレからしたら上出来な部類だ。
     ついでに見張りの二人は、揃って対中距離用にM4A1カービンのアサルトライフルに、短距離にはバイヨネットスタイルのコンバットナイフ。そんでもって首から下げてるステンレス鋼のドックタグにはコイツらの識別番号の他に、片手の指で足りる回数魔法を使えるぐらいの魔法石と、職員の位置を逐一確認する為のGPSがついてた。
     それ見てすぐ、この場所に留まり続けるのは良くないとアズールと顔を見合わせ、情報を取った後は大切な肉壁になるコイツらを先頭に、まずは一番近いアスターとサミュエルが連れて行かれたであろうB区画を目指した。
     この施設には、研究員の為のA区画から屑殺された死体置き場のG区画までがあって、オレらはC区画で管理される予定だったらしい。でB区画は、オレたちが先程までいたプラットホームからC区画を抜けた先だと言う。アルファベットが始めの区画ほど面積は小さいらしいけど、直線距離にして一五分程度と考えても、やっぱこの施設クソデケェわ。
     山の中くり抜いて作られたこの施設、こんなクソデケェ施設をバレずに作るなんて、どう考えても無理すぎる。本当に世界的な金持ちやでっかい権力者がバックに付いてるみたいだ。
     顔を前に向けたまま、監視カメラの台数、死角、そーいうのを歩きながら確認する。っていうか監視カメラどころか、すべての部屋が外から観察できるように、廊下に面した壁が強化ガラスになってる。
     さっき見張りのやつを絞めて得た情報では、C区画は素材対象外の人質を監禁する場所って聞いてたけど、そのせいか部屋自体からっぽだ。
     それも横目で確認して、唯一の出口である先程のプラットホームから何歩歩いたか数え距離を割り出す。もちろん脳内でマッピングも行い、金魚ちゃんたちを助けた後どう逃げるかを考えた。
     小型のヘリを奪う……いや、あのクソでかいエレベーター式の滑走路をどう上下させるかがまず分かんねぇ……施設外の山中に繋がる出入り口も複数あるらしいが、クソ長い階段を登らなきゃダメだって聞いて、そんなのをちんたら登ってる間に見つかったら、逃げ場がなくて即刻アウトになりかねない。
     こうなってくると、重要になるのがアズールの魔導転移具だ。試作品で何度も使えないと言っていたから使い所を間違わねぇようにしねぇと……なんて考えてたら、冷却ファンの音がかすかに聞こえる程度の廊下に、メスの金切声が聞こえた。
     ここに監禁されてる誰かの声かって部屋に近づけば、見たことのあるじぃちゃんとばぁちゃんが顔真っ青にして、パニックになって部屋から引きずり出されそうなメスを見て焦ってる。
     この顔は知ってる。金魚ちゃんを五年ほど匿ってたじぃちゃんとばぁちゃんだ。
     アズールも一瞬で状況を理解して、腕時計の機能を使ってこの周辺五メートルほどに隠蔽魔法を発動し「フロイドッ!」とオレの名を呼んで、思いっきりぶん殴ってこいって許可出してきて、反射的に目の前の肉壁二つを部屋に投げ込み、上機嫌に笑ってみせて部屋に突撃した。白衣を着た三人はヨワヨワで、肉壁をモロにぶつけられたら簡単に気を失った。よっわ!
     オレが白衣のやつを絞めてる間に、アズールは入り口すぐ部屋壁にくっついたカバーを開けて剥き出しになったパネルにUSBぶっ刺して、この部屋の監視カメラに干渉した。バーチャルキーボードでコードを書き換え、録画された映像を切り取り、監視ルームのモニターには今現在何事もない数時間前の映像が映し出されてるはずだ。まぁ、こんな小細工、長く持つとは限んね〜けど。
    「フレドさん、お怪我はありませんか?」
     アズールがそう聞けば、気が抜けて立ってられなくなったじぃちゃんは、ベッドの縁に座って頭を押さえた。グッと詰めてた息を大きく吐いて冷静さを取り戻すと「大丈夫だ」って、床でチビ抱きしめて泣いてる母親と娘の体調を診察して、無事が分かるとばぁちゃんに二人を任せて、オレとアズールに向き合った。
    「お前らがここにいるってことは、リデルもチビも捕まったか……」
    「えぇ……僕たち二人が帰宅したら、リデルたちに付けたリーチの護衛も全滅し、敵の手に落ちていました」
     それ聞いたら、じぃちゃんはがっくりと肩を落とした。その顔が、金魚ちゃん達の家で初めて見たときよりずっと老けて見えた。
    「すまねぇ……全部オレのせいだ……anathemaの奴らが俺ンとこに来て、リデルたちのカルテを渡しちまったせいだ」
    「違うよ! 私が人質にされたせいで、この人は仕方なく……」
     じぃちゃんとばぁちゃんは、二人してどっちのせいだって言い争ってるけど、それちがうくね?
    「いや、それってさぁ結局ダーハム・グレイソンヘラヤガラが悪いよね? だから別に謝んなくてい〜し」
     オレがそう言うと、アズールもどうしようもねぇことが分かってるから「そうです」って、オレを肯定した。
    「全ての元凶は、ダーハム・グレイソンや『anathema』です。あなた方が自分たちのせいだと思いこめば、きっとリデルが一番責任を感じますよ」
    「そう……かもしれねぇが」
     オレが、このじぃちゃんと初めて会ったのは、金魚ちゃんがママを庇って大怪我を負って、その治療のためだけに遠い陽光の国の最西端の街からやって来た時が初めてだった。その時も思ったけど、じぃちゃんもばぁちゃんも、まるで金魚ちゃんのことを自分の子供や孫みたいに、本当に心から心配してた。
    『今助けてやるから……』そう言って金魚ちゃんの全身の怪我を、何十時間もかけて必死に助けようとしてた。その姿を知ってて、オレやアズールがじぃちゃんを責めることなんてできるわけねーじゃん。
     なにより、金魚ちゃんやアスターとサミュエルも、じぃちゃんとばぁちゃんが大好きだった。
    『二人がいたから、ボクは子供たちを無事に育てることが出来たんだ』なんて、金魚ちゃんの方も、親やじぃちゃんばぁちゃんに向けるような顔し、二人のことを本当に大好きだって言ってんだもん。オレたちだって、そんなじぃちゃんとばぁちゃんには感謝してんだ。
    「大丈夫だって、オレとアズールで金魚ちゃんの事無事に助けてくるから、そしたらみんなでこんな所からさっさと逃げて、美味しいご飯でも食べよーよ」
    「そうです、フロイドの言ったとおりです。絶対に僕達がリデル達を助け出してみせます。ですからあなた方はどこか安全なところで隠れていてください」
    「……わかった、お前らも絶対に無事に帰ってこいよ」
    「うん」「はい」ってオレらが頷いたら、やっと少し落ち着いた母親が「あの……」とオレに話しかけた。
    「ジュリオは……どうなりましたか?」
     ジュリオと聞いて思い出すのは、部屋に踏み込んだときに見たファミリーの死体の山だ。ジュリオは確か、暗殺や警護なんかを得意とするチームにいたやつで、そいつも部屋の中央に大の字で倒れてた。
    「死んだよ」
     そう言ったら、すでに分かってたのかさっきみたいに取り乱すこともせず、「ごめんなさい」って何度も言いながら、自分の旦那の名前を呟いて子供のこと抱きしめてた。

     それからオレらは、肉壁二つを叩き起こして、今度はじぃちゃんたちの肉壁にするべく追加の話し合いをした。ついでにアズールと絶対に逃げられないような内容の〝契約〟をさせて、裏切らないように、裏切りたくとも裏切れないようにしてやった。
     ついでに、ここでじぃちゃん達を守りきれたら、ウチのファミリーに迎えてやるよと言えば、どうあがいても逃げることが出来ないのを悟って、涙を浮かべながら「ありがとうございます」って人生諦めた顔してた。
     じぃちゃん達を、比較的安全な場所に連れて行く後ろ姿を確認しながら、オレとアズールはこの部屋の監視カメラシステムに干渉した時入手したB区画のマップを手に、アスターとサミュエルが監禁されている部屋を目指した。
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