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    おわり

    @owari33_fin

    アズリドとフロリドをぶつけてバチらせて、三人の感情をぐちゃぐちゃにして泣かせたい

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    おわり

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    キミは始まりのミーティア 後編 3(3)

    「三六,九℃……二人とも平熱だね」
     リビングのソファーに座る二人の熱を測れば、もうすっかり落ち着いて、平熱にまで下がっていた。昨日は酷く熱かったおでこや頬も、手のひらで触ればいつもの二人の体温だ。
     こうやって急に上がっては翌日に下がる熱は、二人が産まれてから成長する過程でよくある事だった。
     初めの頃は心配で仕方なかったが、フレドが処方する薬を飲めば数時間で熱が下る二人を何度も見ていれば、さすがのボクも慣れた。
     しかし、昨日初めて熱で苦しむアスターとサミュエルを見たアズールは、本当に心配だったろう。怒った手前、すぐに甘い顔を見せられないと、ボクに二人の世話を任せたが、心配で寝室のドアを少し開けては、二人の様子を伺っていた。
     そんなアズールは、先ほどからダイニングチェアーに座ってコーヒーを飲みながら経済紙を読む態勢をとってはいたが、先程から視線が文字を追っておらず、二人を心配し聞き耳を立てていた。
    「かあさん……とうさん、まだ怒ってる?」
    「おれたちのこと、キライになっちゃった?」
     内緒話でボクに聞いてくるアスターとサミュエルは、昨日アズールに怒られたのが相当堪えたようだ。先程から気づかれないようにチラチラとアズールの様子を伺う二人に「謝ったら許してくれるよ」と、やんわり背中を押せば、二人で手を繋いでアズールの元に歩いて行った。
     二人が「とうさん」と呼べば、アズールは一文字だって頭に入ってこなかっただろう新聞を机においた。
    「昨日は、ごめんなさい」
    「ワガママ言って、ごめんなさい」
     頭を下げて謝る二人のしょげた顔に、アズールは「熱はもう大丈夫なのか? しんどかったりしないのか?」と聞き返す。
    「うん、ぼくもう大丈夫だよ。ね、サミー」
    「うん、おれももうしんどくない」
    「リデル、二人がこう言ってますが。今から水族館に行っても大丈夫ですか?」
     アズールの思いがけない言葉に、二人がパッと顔を上げた。
    「そうだね、無茶をしないで、ボクたちの言うことをキチンと聞けるなら、行ってもいいんじゃないかな」
    「二人とも母さんがああ言っているけれど、僕たちの言う事をしっかり聞いて、騒いだりせず大人しくしてられるか?」
     アズールの提案に、二人はワッと叫んで、満面の笑みでアズールの脚にしがみついた。
    「「とうさん大好き!」」
     子供たちに甘えられるアズールが、ほんのちょっぴり羨ましくて「大好きなのは父さんだけなの?」と聞けば、ニッと小さな歯を見せて笑う二人に「「かあさんも大好き!!」」と笑顔を向けられた。

     それから急いで二人を着替えさせ、ボクもクローゼットのワンピースをじっと見つめた。ボクの私服はほとんどがワンピースだ。ボクにとって五年近く着ている女性の服は未だ難解で、着替えの時にコーディネートを悩まなくていいからとワンピースばかりを選んで着ていた。
     だからこの五年で、季節ごとに困らない量のワンピースが揃っているが、水族館にドレスコードはないとはいえ、動きやすく、場にあった服装の方がいいだろう。
     昔は、アルマの高そうなワンピースを普段着に着ていて、馴染みのフレドの女性患者たちに「リデルはこれからデートでも行くの?」と聞かれ、その時に着ていたワンピースが普段着にしては気合が入りすぎていると指摘された。それからは、最低限その場に合う服を考えるようにしているのだが、家族で水族館に行く服装の正解の見本を知らないボクは、頭が真っ白になりそうだった。
     ボクがクローゼットの前で立ち尽くしていると、アズールがやって来て、ボクのワンピースを手にとって見始めた。
    「アズール、キミ、ワンピースに興味があるの?」
     ボクの発言に、眉間に皺を寄せたアズールが「そんな訳ないでしょう」と一枚のワンピースを取り出した。
     ラッフルデザインの品のある白のフレアワンピースは、ウエストにぐるりとゴムが入っていて、見た目に反して楽な着心地の服だ。
    「これなら動きやすいんじゃないですか?」
     靴は茶色のスクウェアトゥのショートブーツだ。カバンは同じく茶色のフェイクレザーのトートバッグだ。胸下まで伸ばしている髪は編み込んで後ろに流せば、アズールに靴と同じ茶色のカチューシャを頭に付けられた。
     ボクは目元が濃いせいで、あまりしっかり化粧をしすぎると迫力が増すと言われてしまったこともあって、目元の化粧は薄く、唇は少し血色がよく見える元の色よりほんの少し色づいた色を乗せる程度にしている。どうだろう、上手く女性に擬態できているだろうか?
    「これでいいかい?」
     隣で見ていたアズールに聞けば「上出来です」と、手を取られ指先にキスされた。
     車に乗り込むと、後部座席に付けられたジュニアシートに座らされた二人が「「かあさん遅い!」」と頬を膨らませる。ごめんねと謝れば、アズールが「女性は準備に時間が掛かるから、母さんを責めないように」とボクをフォローをしたつもりだろうが。生憎、ボクはこんな格好をしてはいるが男だ。その言い方は、あまりフォローされているように感じない。
     途中「朝ごはんを買いましょう」と寄ったファストフード店のドライブスルーに、アスターとサミュエルは目を輝かせ、テレビのCMで見たハンバーガーに釘付けだった。
    「かあさん! ぼくコレ! コレがいい!!」
    「アスターずるい! かあさん、おれはコレがいい!!」
     指さしたジューシーな分厚いチキンの挟まったバーガーと、目玉焼きとベーコン、そしてハンバーガーパティの挟まったバーガーのメニュー名をマイクに向かって伝えた。すると「セットになさいますか? それとも単品でしょうか?」と聞き返され、慌てふためきながらメニュー表を見つめていると、横からアズールが助け舟を出して、全てオーダーしてくれた。
    「リデルはどうしますか?」と急に聞いて来たが、生まれてこの方ファストフードなんて殆ど食べたことが無いボクに、唐突に聞かないでほしい。せめて前日から分かっていれば、全てのメニューを調べ、どれが正解かを考える余裕があったのに。
     グルグルと考え込むボクを見て、呆れたアズールは勝手にボクの分を注文してしまった。
    「ちょっと待ってくれ! 何を勝手に注文して……!」
    「待てませんよ、車も後ろが支えてるんです。ご自分で選ぶのはまた今度にしましょう」
     言われて後ろを振り返れば、すでに後方に四台待っている。ウギィと唸って我慢すれば、ボクを見たアスターとサミュエルはお腹を抱えて笑っている。
     出来上がった商品を受け取り、アズールが運転する車の中で食事をする。これは食事のマナーとしてイイんだろうか? 悩みはしたが、座席裏のテーブルを引っ張り出せば、二人はキャアキャアと騒いで楽しそうにバーガーに齧り付いた。
     ボクがガスの入った飲み物が苦手なこともあって、二人に飲ませたことが少なかったが、ここぞとばかりに炭酸ジュースを選んだ二人は「シュワシュワする!」と笑いながら飲んでいる。
     絶妙な塩加減のフライドポテトを口の中いっぱいに頬張って、おいしいおいしいと言う二人を真似て、ボクも紙に包まれたバーガーを一つ手に取る。アズールがボク用に選んだのは比較的他のバーガーより野菜の多いBLTだ。白胡麻を振った細長いバンズにたっぷりのレタスとトマトが挟まりベーコンとハンバーガーパティの脂をあっさりさせ、思った以上においしくて感動していると、運転するアズールが「僕にも一口ください」と口を開けた。
     一口と言われて、反射的にボクのBLTをアズールの口元に持っていってしまったら、彼らしからぬ一口で大きく齧り取られた。
    「キミ、一口が大きすぎやしないかい」と、唇を尖らせて抗議すると、咀嚼して飲み込んだアズールが、ふはっと笑って「僕のも食べていいですよ」と言うもんだから、紙袋から取り出したアズールのマスタードチキンのバーガーを同じ様に食べてやるとかぶりついた。なのにその一口で、粒マスタードのピリピリした味に鼻の奥がツンとして、近くにあった飲み物を手にして急いで飲み込めば、それはアズールが注文したジンジャーエールで、ボクは大きく咳き込むことになった。
    「リドルさんのそういう所は変わりませんねぇ」
     子供達の目の前なのに、ボクを『リデル』と呼ぶことも忘れ、その後も上機嫌なアズールに手ずから食事を食べさせ、全て食べ終わる頃には、沿岸部にそびえ立つ、カラフルな色に塗られた水族館の外観が見えた。
    「あれがすいぞくかん!?」
    「おおきい!!!」
     二人は、住んでいたあのビルや今の家と水族館の建物の大きさを比べは、あの中にいる魚の数を予想してはしゃいでいる。
     駐車場に車を停め二人を車から下ろすと、「「すいぞくかんだー!!」」と水族館の建物に向かって走り出した。
    「コラ! 待て! 待つんだ二人とも!!」
     ボクが追いかけようとすると、アズールが魔法石を埋め込んだブレスレットで魔法を使い、二人の背負うリュックを引っ掴み動きを止める。
    「約束しただろ? 言う事を聞かず勝手に騒ぐならもう帰るぞ」
    「「ごめんなさぁい」」
     アズールが怒って見せれば、二人はすぐさま大人しくなった。
    「水族館はお魚が驚くから、大声を出したり、水槽を叩いたり、お魚や周りの人に迷惑になる事をしちゃ絶対にダメだよ」
     二人に言い聞かせて、水族館に入館すると、二人は見たこともない大きな水槽や海の中の様な世界に驚き、興奮から両手で口を押さえていた。
     アズールに「あれは?」と聞かれて、「騒いじゃいけない場所で声を出しそうになったら、手で口を覆う様にと前に教えて、それから叫びそうになるとああやって我慢してくれるんだよ」と説明した。
    「とうさん! あの赤いのは!?」
    「とうさん! あの黒くて早いやつは!?」
     二人の質問攻めに丁寧に答えるアズールを横目に、ボクも水槽の中をじっくりと見つめる。ミドルスクールの時に一度、水族館に行ったことがあった。いつもは百科事典で見る魚たちをガラス一枚隔てて見るのは新鮮だ。
     今もこうしてガラスを覗き込めば、小さな魚がたくさん寄ってきてガラスに口をトントンと打つけたり、ひらひらと踊ってくれた。かわいくて、どんな魚なのかアズールに聞いてみたら、左手を手に取り魚に見せつけ、アズールが聞き取りにくい言葉で何か発すれば、魚たちが一瞬で散った。
    「アズール……キミ何したの?」
    「さぁ? リドルさんが知らなくていいことですよ」
     アズールは「さぁ次のコーナーに行こう」とアスターとサミュエルの手を引いて行ってしまう。
     せっかくかわいい魚を見ていたのに、邪魔をされて少し腹が立ったが、置いて行かれては困ると足早に三人を追った。
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    おわり

    PAST今現在、恋愛感情なんか微塵もないアズリドとフロリドの未来の子供がやってきてなんやかんやのクソ冒頭
    並行世界チャイルド それは、授業中の出来事だった。
     グラウンドの上。辺りが急に暗くなり、さらに大きな穴が空いた。雷鳴轟かせる穴。その口から吐き出された二つの塊が、このとんでもない事件の発端になるとは、この時はまだ誰も知る由もなかった。

     * * *

     授業中、慌てたゴーストがリドルを教室まで呼びに来た。緊急だと言われ、急いで学園長室まで向かうと、その扉の前でアズールとフロイドと出会った。
     苦手な同級生と、胡散臭い同級生兼同じ寮長である二人を見て、リドルは自然と眉を顰めた。
    「あー! 金魚ちゃんだぁ〜!! なになに、金魚ちゃんもマンタせんせぇに呼ばれたの?」
    「僕たちも先ほど緊急の知らせを受けて来たんです」
     この組み合わせなら自分ではなくジェイドが呼ばれるべきなのでは? とリドルは思った。どう考えても、二人と一緒に呼ばれた理由が分からない。こんな所で立っていても仕方ない、コンコンとドアをノックすれば、学園長室からバタバタと走り回る音が聞こえた。中からは、やめなさい! と言う声や、甲高い子供の声と泣き喚く声が聞こえた。
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