八家(瑛人目線)
お父さんは厳しい人だった。由緒正しき家柄で昔ながらの亭主関白、そんな八家は両親と僕、弟の七海の4人家族だった。父は僕と七海と2人も跡継ぎが出来たことに喜んでいたらしい。でも僕は父の言うこと全てがプレッシャーだった。
幼い頃から水泳、習字、英語、塾、そろばん、空手、ありとあらゆる習い事をさせられてきた。辛かったけれど、高校3年の今まで耐えてきた。そして3歳の頃弟が出来た。母は女の子が良かったらしく名前は七海に決まった。母は随分と七海を甘やかしていた、僕とは真反対の育て方だった。
正直羨ましかった。
そんな母に父は何も言わなかった。
でも兄弟仲は良かった。七海はワガママな所もあったが僕についてまわる可愛い弟だった。
でも兄弟なのにどこか似てなかった。
顔は誰が見てもそっくりなのに。
小さい頃から弟が羨ましかった。末っ子特有の誰にでも甘えられる性格。頼りたくても他人に頼れない僕とは真反対。近所の人や親戚から可愛がられるのはいつも七海だった。だから父も母も七海を甘やかしていた。
思い返せば兄弟喧嘩のとき守られるのは七海だし、僕はずっと我慢してきた。小さい頃からおもちゃやお菓子、服色んなものを取られてる気がする。いつかは友人の朔や颯帰、後輩の湊さえ取られそうな気がした。
弟は好きだけれど。。。
七海目線
僕にはお兄ちゃんがいる。
なんでも出来て優しくてかっこいい。憧れだ。兄弟仲は昔からずっといい。喧嘩なんて全然しないしね。
父も母も親戚もみんな僕に優しかった。そんなこと自分ではわかってた、『わかんないフリ』してただけでね。兄には劣るけど勉強も運動もそこそこできる。全てが中の上かそれ以上ってところ。
女子には少なからずモテていた。興味はあまり無かったけど。
学校はそこそこで友人はいるけど話が幼すぎる所がありたまにめんどくさい。
放課後はイオンのゲームコーナや本屋などに行っていた。
友人の誘いでゲームコーナーに行った日、初めて湊先輩に会った。男の僕でも見とれるくらい綺麗な人だった。彼はクレーンゲームでとったであろうクマのぬいぐるみを持っていった。でもその表情はどこか暗かった、僕に気づいた湊先輩は「これあげるよ」ってぬいぐるみをくれた。
そんな儚げな表情で僕はもう『虜』だった。
もっと話したいし、近くに居たい。そんな思いが渦巻いていた。
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なんだこれ。重くない?🥹