三十九度の、とろけそうな日高専の敷地内にある、二十五メートルのプール。
それの惨状を見て、白色のTシャツに短パン姿でプール掃除にやってきた傑は呆然と立ち尽くした。
「これ、業者呼ぶレベルだろ…。」
彼女が思わずそうこぼした通りに、一年近く使用されていなかったプールは随分な有り様だった。
七分目ほどまで溜まった水は苔のような藻のようなものが繁殖して緑色に濁り、その水面には大小を問わず虫の死骸がいくつも浮いている。底にどんなものが沈んでいるかなど、考えたくもなかった。
現在の時刻は朝七時であったが、今日の東京の予想最高気温は三十九°C。既に太陽はギラギラと輝き、地上のあらゆるものを射殺さんばかりに照りつけている。
傑は目眩がしそうな心地だった。
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