好意、あるいは愛の話「少し、悩んでいることがあって。聞いて欲しいんだが──」
ある日の深夜。エルゴスの片隅にて。
「──高祖シモンに俺のことをもっと見て貰う為にはどうすればいいと思う!?」
「ちょ、声でかっ!?急に何。これ何の相談?何で俺?!」
少し勢いがつきすぎてしまった。
ばん、とテーブルに身を乗り出したリヒターは、思ったよりも大きく響いた声と、慌てふためく蒼真の様子に反省してすすす、と音を立てないように身体を戻した。
草木も眠る丑三つ時である。既に皆寝静まり、この談話スペースの他は昼間の喧騒を忘れたように沈黙している。幸い誰かが起きてくる気配はなかったが、静かにするに越したことはない。
「いやまあ、ここで会ったのが丁度よかったというのもあるが……」
6063