四月一日、嘘つきな貴方 目蓋を開けると、自分の部屋のものではない天井が目に入った。
ごろりと寝返りをうって、自分の匂いがしないベッドに顔を押し付けて息を吸えば、なんだか微かによい香りがする。居心地が良い。安心する。惰眠を誘う肌触りを何とか断ち切って、もぞもぞと身を起こす。
蒼真の部屋とは趣の違う、落ち着いた雰囲気の洒落た部屋。ぼんやりした頭に浮かぶ違和感に少し遅れて、そういや昨日は有角の家に泊まったんだったな、と思い出しながら蒼真はベッドを抜け出した。まだ少し眠い。
「おはよ……」
「ようやく起きたのか。おはよう。さっさと顔でも洗って来い」
「ああ、うん……」
のろのろと部屋を出れば、寝ぼけ眼のまま追い立てられて、ぺたぺたとフローリングの床を踏む。じゃぶじゃぶと冷たい水を浴びたところでようやく目が覚めた。幾分はっきりした頭で踵を返す。
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