たくさんある見合い写真にうんざりする。玲王はぱたんと見合い写真を閉じると、アルバムをテーブルの端に寄せた。なるべく視界に入らないよう端へ端へと追いやり、重たい溜息をつく。
二十歳を超え、プロのサッカー選手として世間に名を轟かせようとも、御影玲王として本来持っている属性はそう簡単に変わらなかった。何処へ行っても"御影コーポレーションの御曹司"という肩書きがついて回る。『そういえば最近、御影コーポレーションのご子息がサッカーで活躍されているとか』『えーっと、ああ! 君は確か御影コーポレーションの……』と、まるで枕詞みたいについてくるそれに、最近では苛立ちすら覚えなくなった。
もっとプレーを見てくれ。サッカー選手として認識してくれ。
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