みたらし色の希望を灯して「えんとの未来は、わたしたちがつくるんだよ。だから──いっしょにがんばろうね!」
幼馴染み三人でこっそりと集まるそのたびに、琥珀色の大きな瞳に溢れんばかりの希望をきらきらと映して笑っていた女の子。
それから少し経ち、俺と彼女の関係が許嫁と呼ばれるものに変わって、どこかくすぐったいような心地で過ごしたのはほんのわずかな期間で。
ほどなくして彼女は、唯は──縁渡を揺るがす謀反騒ぎに巻き込まれ、消えた。
「うう……もう限界ー! 蒼司、お茶にしよ!」
俺の隣で勢いよく立ち上がった唯が、そのままパタパタと足音を立ててだだっ広い畳の間を横切っていく。縁側に残された政の指南書は分厚く、傾いた陽光を浴びて濃い影を床に落とす。俺の使い古しではあるけれど、彼女の手に渡ってからさらに熱心に、丁寧に読み込まれているように見えた。
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