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    俺だけが楽しいオウェにゃん✖️飼い主ヴィ妄想

    俺だけが楽しいオウェにゃん✖️飼い主ヴィ妄想 オウェにゃんは綺麗なシルバーグレーの短毛種にゃんこ。イメージはロシアンブルー。元々は血統書付きのお猫様。でも美人すぎるが故にブリーダーの元から誘拐され、多頭がい主に監禁される。その主が事故で死んだ時に保健所に回収され、美人にゃんだったため保護猫基金を開設していたピノ家に連絡が行き、セオの元へ連れて行かれるんだ。
     おセオが今まで接してきた人間とは違う完全なる上位種であると認識し、おセオには懐く。人間のことは心底嫌いだが、誰彼構わず威嚇していればピノ家から追い出されてしまうと良い顔をしていた。
     そんなある日、病院へ予防接種に行くと使用人にピノ家から連れ出される。そこで連れて行かれたのは病院などではなく倉庫のような場所で、オウェは暴力を振るわれる。どうやらセオのスーツに猫の毛がつくのが気に入らなかったらしい。高貴な人間に薄汚れた家畜が痕跡を刻むなど許せないという、なんとも身勝手な理由だった。
     後ろ足をバッドで殴られ、長かった尻尾の先を切られた。オウェは痛む足を無理やり動かして飛び上がり、使用人の耳を食いちぎって逃げ出した。覚えていたピノ家の場所までようやく戻ったところでパッタリと倒れ込んでしまう。
     その後使用人はクビ。けれどオウェはもう人間を信用できなくなっていた。おセオ以外から出される食事や水に手をつけない。包帯を変えてやりたいのに少しでも手を伸ばそうものなら噛みつこうとするため、使用人達はお手上げ状態だった。
     セオも邸宅を留守にすることが多く、その間一切食事を取らなければ死んでしまう。困り果てた使用人達はオウェの状態をセオに報告し、セオはヴィジャイへと連絡した。
     
     セオが出張に出て三日。飲まず食わずなうえに折れた足が痛んで、オウェは普段使用人が来ない来客室のベッドにぐったりと沈んでいた。
    うつらうつらとしているとき、不意に扉が開く音が響いて飛び上がる。パッとむけば、不思議な人間が立っていた。動物的な気配がほとんどしない。庭にある草木のような気配と、追いかけるように香った柔い花の匂い。
    「こんにちは。あなたがオーウェンですね」
     敵意は感じなかった。使用人が向ける怯えや見下しに似た何かも、感じられなかった。だから動かぬままその人間の行動を見守る。
     人間はオーウェンの横たわるベッドに近づき、手を伸ばしてきた。思わず威嚇するもその手は引っ込められることなく、オーウェンの側に皿を置いた。
     水の張ってあるボウル。オーウェンのための食器だった。
    「飲みなさい。死にますよ」
     喉奥でうなれば、酷く穏やかな音が落とされた。
    「死にたいわけではないのでしょう。ただあの人を待っているだけ」
     観察されている。しかし、手を伸ばそうとはしてこない。ただオーウェンが水を飲むのを待っている。
     警戒しながらオーウェンは鼻先を水へと近づける。すぐに混ざった苦い匂いにパッと顔を背けた。人間へ、しゃーっと威嚇する。続けて噛みついてやろうとすれば、人間はサッと手を引いた。けれどさほど動じた様子はない。
     そこまできて、ようやくこの人間は使用人達とは違うのだと悟った。
    「そう、変な匂いがするでしょう?この水には薬が混ざっています。痛み止めです。飲めば体が楽になりますよ」
    だがこの人間はオーウェンが知る医者という生き物でもない。オーウェンを押さえつけ、体にまとわりつくこの布を強引に剥いだり、逆にまとわり付かせたりもしないのだ。
    「……あぁ、自己紹介を忘れていました」
     ふ、と。人間が小さく喉を震わせる。それは少し、オーウェンたちが喉を鳴らす音に似ていた。
    「私はヴィジャイ。あなたのご主人……セオドールさんに言われて会いに来ました。よろしくお願いしますね」
     それが、初対面だった。

     次に目を覚ました時にはオーウェンはヴィジャイの家にいて、捨てられたのだと思ったオーウェンは荒れる。この人間を殺せば元に戻れるのだと信じてヴィジャイの喉笛を狙うもあっさり躱され、唸っていればまた真摯に声をかけられるんだ。
    「あなたは一時的に私の家に来ただけです。しっかりご飯を食べて傷を治せば、またピノクル邸へ戻れます。あなたのご主人はあなたがまた人と共存できるようになることを望んでいるんです」
     そうやってヴィジャイの家で過ごすようになったオーウェン。2LDKとはいえピノクル家よりも狭いためどこにいてもヴィジャイの気配を感じる。最初は警戒して眠れなかったがヴィジャイが過度な接触をしてこないのと、触る際も声をかけて来てから触るなど徹底されていたため、早々に無駄な警戒は解いた。
     触れられるのは不快だったが、はやく傷を治すためには我慢が必要だった。そうして我慢しているうちに、触れてくる手がオーウェンを傷つけるものではないと体が覚え。触れられれば心地よいと感じるようになった。だから戯れに膝上に抱き上げられるのも許したし、そのまま撫でてくるのも許した。
     この人間はやはり他の人間とは違う。部屋に無数に置いてある植物達に近い。押し付けがましさなどかけらもなく、どこまでも自然にオーウェンの存在を包んでくる。だから安心できた。

     それなのに、ヴィジャイは家に他の人間を連れてきた。オーウェンとヴィジャイだけの世界に、余所者を連れてきたのである。
     その人間はヴィジャイの匂いを纏っていた。ヴィジャイもまたその人間の匂いを纏っていた。
     普段はしないはずの匂いがオーウェンの神経を逆撫でする。まるで番のように互いの匂いをつけているのも腹立たしく、そしてそれをヴィジャイが受け入れているのも気に食わなかった。
     オーウェンのヴィジャイなのに。
     だから噛みついた。オーウェンを気遣って近寄ろうとしないのを、わざとオーウェンの方から距離を詰めて人間の手に噛みついた。逃げようとするのを追いかけまわし、さらに引っ掻こうとしたところでヴィジャイに捕まった。
    「オーウェン、ダメです!」
     何がダメなのか。この部屋の異物は、明らかにこの人間の方だった。 
     ヴィジャイと何事か話して、人間は帰って行った。ヴィジャイは少しだけ悲しそうだった。あの人間に何か言われたせいだろう。
     ソファに座り込んだヴィジャイの膝の上に飛び乗る。腹に額を擦り付ければ、少しだけ間を置いていつものように撫でられた。
    「……どうしてあんな事をしたんですか」
     珍しく、かぼそい音だった。見上げれば細められた紫苑とかち合う。
    「あなたに危害を加えるような人じゃないとちゃんとわかっていたでしょう」
     なぁーう、と。一声鳴いてみせる。ヴィジャイは苦笑した。
    「仕方がない子ですね」
     それ以上、ヴィジャイは何も言わなかった。ただ優しい手がオーウェンの頭から背中を撫でていく。繰り返される愛撫にそっと瞼を閉じ、オーウェンは喉の奥を低く鳴らした。

     ふ、と。違和感を覚えてオーウェンは瞼を押し上げた。眠りに落ちた時、オーウェンの体を包んでいた暖かな陽の光はすでに消え、窓からは月明かりが差し込んでいる。
    窓辺から降り、オーウェンは肌を撫でる違和感を追いかけてリビングの方へと向かった。
     今日はヴィジャイは明け方から外に出ている。仕事だとかなんとか言っていた。そう言って出ていく日はヴィジャイは長い間帰って来ない。常であればもう戻ってきてもいい頃合いではあるが、部屋は暗いままだった。
     リビングに出ると物静かな植物達がざわめいていた。彼らの明確な意思はオーウェンにはわからないが、それでもうすらとした気配のようなものはわかる。それが今、動揺したようにさざめいて玄関の方を指している。その気配に従ってリビングの猫用扉を潜り抜ければ、見知った人影が玄関に倒れ込んでいるのをみつけた。
     一声、オーウェンは高く鳴いた。
     廊下に沈んでいるヴィジャイに駆け寄り、流れ落ちた髪の隙間から頬へと鼻先を押し付ける。途端に香った嫌な匂いに、思わず唸った。
     己の尻尾の先を切られた時にも香った匂い。生き物の体内から流れ出る匂いだった。
    オーウェンは鼻をひくつかせて匂いの元を辿る。嫌な匂いと共につんとした草の匂いがまじり、それを追いかけて緩い襟ぐりから肩口へと鼻先をつっこんだ。途端に濃厚になった香りと、オーウェンの足に巻かれている布と同じものを発見する。
    「オーウェ、ン」
     ぐ、と。体が引き剥がされた。髪の隙間からいつもと同じ紫苑が覗く。けれどそれはうすらと濡れて揺れていた。
    「大丈夫ですよ……ちょっと、疲れただけ……です」
     首筋に置かれた手が重たく、どうしてだかひどく熱い。呼吸も短く浅かった。オーウェンを見ているようで見ていない瞳が、ゆっくりと閉ざされていく。
    「すこし、眠ったら……ご飯を、よう、い……」
     それっきり、ヴィジャイは何も言わなくなってしまった。植物達がまたざわめく。このままここで寝かせていてはいけないと、オーウェンでもわかっていた。この場所は冷たく固く、痛い。理由はわからないが弱ってしまっているヴィジャイを、放っておくことはできなかった。
     オーウェンは投げ出されたヴィジャイの腕へと鼻先を寄せ、袖口を噛む。ぐい、と体全体を使って強く引っ張った。けれどヴィジャイの体は動かない。当然だ。ヴィジャイの体は大きいのである。
     ウロウロと腕の周りを歩き、ついでヴィジャイの体の下に潜り込む。背中で押し上げるようにしてその体を動かそうとするも、やはりぴくりとも動かなかった。
    もうこのままここで寝かせておくしかないのか。けれどここでは。
     もぞり、と。重たい体の下で身を動かした瞬間、何かが目の前に降ってきた。
     不思議な、夜明け前の空気のような匂いを纏ったモノ。突然落ちてきたそれに目を瞬かせたオーウェンは、そっと鼻先を近づけて。
     視界が明滅した。

     この後ご都合カードで人型になったオウェがヴィをベッドまで運んで満足して一緒に寝落ち。よく朝目覚めたヴィジャイが混乱するまで考えていましたが力尽きました。読みたいです。
     これは男同士でもいいしにょた百合でもいいしどっちでもきっと美味しい。
     最初は威嚇してしゃーしゃーしてた猫ちゃんがデレデレになって飼い主の恋人追い返すの可愛いねって思って書き始めたらなんか長くなってしまった。おわれ。
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