とくべつ、その後。 ふわりと鼻孔を擽られ、目を覚ます。なんとも食欲をそそられる匂いだ。この匂いは紛れもなく、己の大好物だと確信する。
ごろりと布団の上で向きを変え、横になる。体を起こそうにも腰が抜けていて、起き上がれなかった。それに加えて気だるさもあり、下腹部はもったりと重く、股の間にまだ挟まってるような違和感が抜けきらない。
体だけでなく、喉もヒリヒリと痛む。昨日、いや正確には今朝にかけて、だけれども。あれだけ散々鳴かされ続けたのだ。喉が嗄れて当然、と言えば当然なのだろう。
仕方なく横になったまま、開かれた障子の向こうを見る。すっきりとした青空が広がり、雲がまるで綿のように丸みを帯びて、ひとつ、ふたつ、みっつと不規則に並んでいた。太陽は空の真上に差し掛かっており、とっくに正午を迎えているのだと教えてくれているようだ。そして時折吹き抜ける風が、なんとも心地いい。
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