紫梅と氷砂糖 紫梅と氷砂糖
「第1回梅仕事大会を開催しよルドくん」
日が沈み切らぬリビングで、大きく高らかに吸血鬼は謎の大会を宣言した。
事の始まりは数日前、下等吸血鬼退治の依頼人が報酬だけではなく甘酸っぱい香りのする大量の青梅をダンボールいっぱいくれたのだ。「田舎から送ってくれたんですけど、私ではどうにも持て余してしまって。ドラルクさんはお料理が上手だと聞きましたのでよろしかったらどうぞ」と。
ドラルク自身も梅を使ったことはなかった、らしいがならなんで貰って来たのか……。
理由は至極簡単だった。
料理上手と言われ、できないと断ってしまうことがプライドの高いあいつはゆるせなかったらしい。
それからは帰ってきてから難しい顔をしてスマホを睨みつけていた。その後は、わざわざ買い物に連れて行かれて重量級の荷物を持たされた。
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