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    furriesexcite

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    ケモナーと腐女子のハイブリッド

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    現パロのヴォルイグです。
    このお話しで完結します。

    まとめたものを支部で上げて、描き下ろしと修正を含めた物を頒布いたします。

    #現パロ
    parodyingTheReality
    #AC6
    #ヴォルイグ

    日中の窓辺 モロッカンストリートのほど近くにあるオンボロアパートにイグアスと一緒に住んでいる。
     ヤツとは昔からの悪友相棒で、何をするにも二人で連るんで行動していた。
     朝昼間はあくせく働き、夜はフットボールとビール。そして最近は金曜は互いの熱を分け合い日曜まで同じベッドで眠る生活をしている。
     そして5日前、二人してだいぶ燃えた夜を過ごしたが結局告白はまだしてない。あの夜の様子を見るに何だかこのままでも良いような、いや駄目だろうと悶々と過ごしている。
     というのも、イグアスの野郎は何に悩んでいるのか、あの夜から露骨に俺を避けやがる。最初は照れているだけだと思って翌日に抱き寄せたが何か思い悩んだ顔をしていて、そういう雰囲気になれなかった。
    『普段は何でもかんでも、余計な事でも俺に噛み付いてきやがる癖に…らしくねえ。何を考えてんだ?』
     正直、俺達の関係なら言葉なんていらないと思っていたが…。それは俺の甘えだったようだ。今日もイグアスが何かを訴えるようにチラとこちらを見てくるが…俺も何も出来ずに時間ばかりが過ぎていった。

     こんな時は1人で考えても碌な答えも出ない。馬鹿は馬鹿なりに考えて、ここは人生の先輩に相談でもしようかと仕事を終えると相棒に「五花海の所に行く」とだけ告げて、モロッカンストリートの仲見世通りにある五花海が経営する雑貨店に足を運んだ。
     店内はあらゆる物が所狭しと陳列されており香辛料から見たことや聞いたことも、どう使うのかすら分からないようなモンまで置いてある。五花海はその一番奥、番台に敷いてある毛足の長いラグに腰を降ろして帳簿に何かを書いていた。
    「よう、五花海。久し振りに来てやったぜ」
    「いらっしゃい。相変わらずですねぇ、今日はどういったご要件で?」
    「あー…、それがよぁ。イグ…」
    「ちょっと待って下さい。買い物じゃあないのなら、帰ってくださいよ。しっしっ」
     五花海は相棒の名前を聞くやいなや買い物じゃないと分かると、商売笑顔を引っ込めて嫌な顔を隠しもせずに追い出しに掛かった。そこで引き下がられるとここまで来た甲斐がない、まあまあ五花海の旦那と菊花酒を出せば先程までの不機嫌は引っ込んで人好きそうなニコニコ顔で酒瓶を懐に仕舞い込み「今日は店じまいにしましょうか」と、奥へ引っ込んだ。
     どうやら話だけは聞く気になったらしい。


    「それで?今度は何で喧嘩になったんですか?」
    「……喧嘩じゃねえよ、ただちょっと避けられてるっつーかよぉ」
     この人を食ったような優男、こちらの事情を一つも話していないのに今までの経験や酒一本の土産で俺の事情の重大性を察したのだ。さすが元詐欺師、油断も隙もない。
    「ちょっと言いにくいつーか、割とヤバいことしてる自覚あるんだわ」
    「ほう?長くなりそうですね、さきほど頂いた酒でも空けますか」
     ことのあらましを聞いた五花海の表情は話が進むうちに青褪めていき、最終的には頭が痛いとばかりに額に手を当て目頭を揉みながら唸っていた。
     やっぱりそうなるよな、そりゃそうだ。下手しなくても犯罪、避けられる程度で参っている俺が悪い。
    「は~…、馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたが此処までとは。あなたねえ、イグアスが幾ら許してくれているとは言え体をモノにしようなんて外道ですよ、まったく。そもそも体が欲しいのならセフレで良いのでは?」
    「だから、それじゃあ駄目なんだよ…俺が」
    「女々しいですねぇ。何故、そこまで好きになってしまったんですか?」
    「なんてことねえよ。積み重ねだ、うん」
     あの日、初めて抱いた日。前後なんか大して覚えちゃないが酔っ払ったイグアスに乗られて「ずっとここに居てやる」と告げられて戻れない所まで落ちてしまったんだと思う。
     思うという答えが曖昧なのも、今までを思い返せば相棒のことを良いなと思うことばかりでハッキリとした根源が分からないのが正直なところだ。相棒の悪癖も悪態も態度も他人からすると有り得ないようなことがいちいち俺のツボにハマって仕方ない。尖った物言いも性格も、素直になれなくて駄々をこねている子供のようで可愛らしく、俺がマズい時はさり気なく助け舟を出してくれたり細かな気遣いをしてくれる男なのだ。
     そして、一番マズいのがあの笑顔。他人には警戒心丸出しで常に眉間にシワを寄せている様な男が俺の前では心を許して相棒だと行って憚らない。何でも無いような仕草で柔らかく笑う。
     そう考えたらもうずっと昔から夢中だったのかもしれない。俺達が今まで積み上げてきたものは、どれもこれも二人で笑いながら時に喧嘩しながら歪な形でも積み上げてきたもので、ちょっと崩れたぐらいでビクともできない所まで育ちきってしまっている。
     気持ちを打ち明けた瞬間に消え去ってしまえるようなヤワなもんじゃない。だって、お前と俺ならきっと、しみったれた過去も何が待ってるか分からない未来もずっと笑い飛ばして居られるじゃねえか。 
    「何だよ…」
    「何です?」
    「俺はとんでもねえ馬鹿野郎だったって気がついたんだよ」
    「はぁ、今更ですよ。気持ちは整理できましたか?だったら、こんな所で油を売ってないで早く帰ってあげなさい」
    「そうするわ、ありがとうよ。五花海」
     思い立ったがなんとやら。杯の底に残っていた菊花酒を煽り店の暖簾を避けて退散しようとしたら「ちょっと」と声がかかる
    「ヴォルタ、言葉は慎重に。わかりますね?」
    「ハッ、分かるかよ」
     まったくもう、と非難が飛んだが関係ない。今日は金曜だが爛れた関係はもう要らない、アイツとこれからについてじっくり話したくなった。
     店を出ればそこかしこから夕餉の香りがする。暮れる日を背に家路についた。


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