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    ようよう

    @Zanzou_mdr

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    最終的に高峯が守沢を殺す死ネタ

     今日も染まっていく。あんたみたいに綺麗な赤とは言えないけど、正義とか興味ないし分からないけど。でも、俺はこうしないと生きていけないから。
    生きてると思える瞬間がこの時だけなんだ。
     どうしてって、俺なんかには分からない。気付いたら俺は知らない人を刺していて……
    それで皮を乱雑に剥いではあらゆる臓器をぐちゃぐちゃにしていた。臓器なんて初めて触るけど結構ずっしりしてて少し生温かい。後、意外としっかりしてるから圧は多少かけられるけど硬い。
     だんだん冷えてきて俺は1人の命を台無しにしてしまったことを自覚した。時間が経つと地面に広がっていた赤はどんどん錆びていった。
     自分の中の人間が戻った時にはもう跡形もなく人だったものはバラバラになっていた。
    「あは……あはは……、なにこれ、おれ、どうすればいいの……」

     最初こそ怖くて震えが止まらなかった。そのはずなのに。

    「だめってわかってるけど……ぞくぞくしてたのしいかも……」

     何を言ってるんだろう俺……。
    けど、一度覚えてしまった愉しさに俺は溺れていった。趣味、娯楽と同じように気が向いたら知らない人を刺しては抉り、繰り返した。初めて命を蔑ろにした時は血の匂いが充満して息苦しかったけど、今ではそれすらもこの状況を愉しむための必要不可欠な材料となっていた。

     もうどれだけの人を殺してきたか分からない、その行為は自分にとっての当たり前で。今更辞めるなんて出来ない。後戻り出来ないところまでついに来てしまった。
     テレビやニュースなどのメディアでも大量殺人の話題で持ち切り。自分の所属しているユニット『流星隊』でも、問題解決しようと試みたりしている。一応これでもヒーローユニットだから人を救う集団だ。
     俺がやってることはそれとは真逆のことなのになんで未だここにいるんだろう。
    もしも俺が大量殺人を趣味でやってるなんて言ったら確実に俺の居場所は無くなってしまう、どうしたら辞められるのかな、この趣味を。
    「浮かない顔をしてどうしたんだ?何かあったらなんでも言っていいんだぞ?」
     あぁ、この人は俺のことを何も知らないから、皆も俺を信じて救おうとしてくれる。
    「なんでもないですよ、ただちょっと居場所を探してるだけなんで」
    「「「「???」」」」
     「じゃあ、俺は帰りますね」と言い去り、人気のない所で俺はまた繰り返した。

    殺人という名の娯楽を。
     でも、それは誤った選択だった。今この状況を見られたくない人、守沢先輩に見られていた。
    終わった、何もかも。もう恩を返すとか申し訳なさではなく、自分がもう直ぐ死を感じる事に対する恐怖しか無かった。
    「高峯……、そんな赤く染まるまで、どうしてこんな事を……」
    「……ですよ」
    「?」
    「たのしいからですよ」
     言ってしまった。理由なんて他に無い、己の快楽のためでしかない。
    「でもね、先輩。なんで俺は殺人がやめられないのかずっと考えてたんです」
    「今得られているものが失うことはないと安心しきってるからだと思ったんです」
     多分本心、普通だったら俺の事見た目だけで中身を見たら捨てていくから。この人達はずっといてくれたから俺はそう思えた。
    「確かに俺達……俺はお前のことを見捨てようなんて思いたくない」
    「だから、おもいついたんですよ」
    「何をだ?」
    「大切なひとたちすべて、失ってしまえば……全て終わりますよね」
    「……」
     先輩黙っちゃった。俺が言いたいこと分かったのかな、だとしたら怖いよね、分かるよ。
     俺は死んだこと無いし上っ面でしか分からないけど……。念のためちゃんと言ってあげよう。
    「守沢先輩をここで殺します」
    「……そうか」
    「もっと怖がったり抵抗、しないんですか」
     いくら守沢先輩でもやめてくれ、くらい言うと思ったんだけどな。
    「俺だけがここで消えることによって俺以外の誰かが笑顔になってくれれば、俺はそれが生きた意味になる」
    「は……」
    「だから、それが高峯お前の望みなら否定はしない、存分に刺すなり殴るなりすればいい」
     どうして、なんで、どうして……どうして!!!
    俺は胸ぐらを掴みながら先輩の首を緩く絞めていた。まだこれで死にはしないと信じて。
    「どうして、とか思ってるか?高峯」
     嗚呼、本当周りのことはよく見てるよね。俺は目を合わせないようにコクリ、と頷く。
    「俺はな、誰かを笑顔にできたならそれだけで、生きてて良かった、もう悔いは無い、って思うんだ」

    「だから、俺が消えてお前が笑顔になってくれるならそれは、ヒーロー、俺にとっての本望だ」

    「うぁ……、あ……あっ……ぅあああああああああああ」
     俺は発狂した、だけど、せめてこの人だけは丁寧に殺してあげようなんて思った。だから、いつも持ち歩いてる刃は地面に投げ捨てて自分の手で大事な大事な先輩が、この世から存在しなくなる瞬間を見ていよう。
    「んん……、うっ……ぐぁあ」
     憎むことなんてなにもないけど、絞める力が自然と強くなっていた。それと比例して手の震えも止まらなかった。
     守沢先輩と何度声をかけても聞こえることはない。届かない。本当に俺が大事な、恩人をこの手で殺めてしまった。
    先輩の首には俺が絞めた跡がまだ少し残っている。
     もう、感謝も謝罪も何も出来ないけど、せめてお別れの言葉くらい言えたら良かったかな。でも、そうしたら余計に殺せなくなってたかも。
     だから、これでよかったきっと。あの人に追いつこうと、理解しようとしたためだけに他人から流した赤をもう見る必要はない。

    「最期は俺が赤くなって皆が笑ってくれたらハッピーエンド……かな」

     今日は自分が人生を終えるための階段を一段だけだけど登った日。そんな日に俺は_____
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