名月『今夜は月が綺麗ですね』
『しみゅれぇたぁでの無粋な形ではあれど今宵は暦の上では十五夜。お月見を楽しむと致しましょう。』
カルデア内シミュレーションルーム。藤丸立香はサーヴァントの1人蘆屋道満に誘われ隣同士に並び共に月を眺めていた。
『此方にエミヤ殿特製の月見団子もご用意致しましたぞ』
小ぶりながらもピラミッド型に積まれた団子が道満の手にあった。道満が持つと更に小ぶりに見える。
「わ、可愛い♪」
立香が喜びの表情を見せる。
『月見とは当初は平安貴族が月を肴に酒を嗜む戯れ事等もございましたが江戸の頃には丸い団子を月に見立て、収穫への感謝の気持ちを表すために供え、またその団子を食べることにより、幸せと健康が得られるという言い伝えもあったとか、』
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