みちゃダメ「ギャー! やめてー!」
レッスンルームが阿鼻叫喚の場と化す。逃げ回る男子たちを追いかけているのは、可憐な悪ドルからシゴキの女王へと転じたケロリであった。その肩には何本ものメジャーが掛かっている。
「待ちなさい。 正しい採寸をしてこそ最高の衣装、そして最高のパフォーマンスが実現するの!」
音楽祭においてアブノーマルクラス男子は二つの衣装を着ることになっている。一着目はそれぞれの配役の衣装、二着目は最後のヘルダンスパートで着る衣裳である。特に二着目の赤いシャツに黒のスーツはラインの美しさが命といっても過言ではない。また、普通のスーツと違い、腕を伸ばした時や足をあげた時のことも考慮して作らねばらならない。そのための採寸なのであるが、さすがのアブノーマルクラス男子も、クロケルに下着の状態で採寸されるのはたまったものではない。
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